プレゼントを食べて
絶対に迷惑はかけないから、と彼女には言われましたが、いったいなんのことだか分からないまま一月ほどたちました。その間も彼女とは何度か会っていたのですが、そのときもそれが話題にのぼることはありませんでした。
きっと何かやろうとしてたけど忘れてしまったのだと思います。彼女は何かと思い付きで行動する人でしたので、今回もきっとそうだったんじゃないでしょうか。
私の誕生日の数日前、家に彼女から荷物が届きました。B5より少し大きいくらいの高さ十センチほどのダンボールです。大きな「冷蔵」のステッカーが目立ちます。
中身は何かのお肉でした。一キロにも満たないくらいの赤身の多いものです。一緒に入っていた手紙には誕生日プレゼントであるということと、今年は誕生日当日に祝えそうにないということが書いてありました。
わざわざ手紙じゃなくても電話でもなんでもくれればいいのに、祝い事だからということなのでしょうか。昨日少し話したときには何も言っていませんでしたし、サプライズということだったのかもしれません。後で電話でお礼を言っておきましょうか。
今日の夕食はまだ決まっていなかったので、これを食べましょうか。せっかくなのでステーキにしましょう。美味しく食べたら報告しましょうね。
夕食後に電話をかけたのですが、何度かかけ直しても繋がりませんでした。電話が繋がらないことはときどきあったのですが、サプライズを用意していた今日については少し変な気がします。まあ、明日かけ直しましょう。
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