狩人の詩(うた)

 矢口高雄氏は、いわゆるマタギにかかわる漫画を数多く描いている。冷酷非常にして美麗至極な大自然のドラマが、本作の第00話を読みながら思い起こされた。

 むろん、本作と矢口高雄氏の漫画には一切関連はない。しかし、恐るべき猛威に怯えて理性を置き去りにした村人と理知的で沈着冷静ながらも余所者たる立場に諦観する狩人の対比は王道中の王道であり(※絶賛であるので念のため)、共通項でもある。

 さておき、邪悪な化け物にどう立ち向かうかが本作最大の醍醐味の一つである。それは作者が自家薬籠とする独自の世界観を無理なく展開する土台となる一方、職人芸としての魔物狩りの技術を呈示しておりワクワクさせられる。卑俗な言い方で恐縮ながら、クールビューティーな彼女が立場の弱い人間には優しいのにも共感を覚える。

 もう一つ、妖精のプークと申さばケルト神話のそれを思い出す。作品の発端と終焉にかかわる存在であり、仮に本作が活字本になったら頁と頁の間に潜んでいそうだ。

 なんにせよ、是非とも続きを読みたい。

 必読本作。

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