フラストレーションを解き放つ出会い。

この作品の素敵なところは、出会いによって人生を拓く明るいエネルギーが生じてくるところです。

主要の登場人物である浦田と井上は、共に現状に不満を抱いています。
学生起業のブームに夢を見たもののその夢が終わってしまいサラリーマンをしている浦田。
そして、本業ではやりたい仕事ができなくなってしまった井上。
どちらも人生が思い通りにいっていません。
そんな二人は、井上が休日にやっているキッチンカーのカレー屋で出会います。

この出会いから徐々に二人の仲が深まっていくのですが、それと同時に、浦田の中で人生を前向きに変えていくエネルギーがふつふつと生じてくる様が文章からはっきりと伝わってくるんですね。
彼に生まれた前向きなエネルギーは眩しく力強く、人生を好転させる予感に満ち溢れています。
この輝かしい予感を楽しめるというのが、この作品の大きな魅力と感じます。