第五部 高速道路
草原を横切る小さな砂利道を進むと、高速道路のサービスエリアが見えてきた。
装軌車両である自走砲は、悪路には強いが整地された道では速度が出ないため、サービスエリアでトレーラーをレンタルすることにした。
レンタル屋の従業員は頭を掻きながら、
「やれやれ、なぜかは知らないがついさっきに戦車のグループが大型トレーラーを借りていった。まだあと何台か小型のが残っているから、それらはいかがでしょうか」
戦車のような大型で速度があまり出ない自律物体が高速道路に上がることもしばしばあることで、レンタカーの会社もトレーラーをレンタルしていることが多い。
平べったい車体の前方に、小さな箱のような運転台と大きな原動機しか載っていない簡素な構造をしている。動力源は自走砲らと同じく光合成で、今朝の太陽光でかなりのエネルギーをためているらしかった。
プリペイドカードの残額を確認してもらうと、驚きの事実が発覚した。10000ドル入っていたものがたったの500ドルしか残っていなかった。あの装甲車がすでに9500ドルを使いつぶしていたのである。
「一日のレンタル料金は100ドルとなります。残高は400ドルになります。あと、最寄りのレンタルステーションで返却してください」
トレーラーの運転免許証を、自走砲は持っている。補給の仕事で運転を一時行っていたのである。
トレーラーを運転しながら、右にも左にも広がる草原を眺める自走砲。
少し埃を被った懐中時計が、十七時三十六分を指していた。
第五部 over
十七時三十六分 幹線道路 @ztusgjdjtj_
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