休職中の主人公、亜希さんはアンティークショップで或る古本を手にすることになります。
何処か不気味で神秘的な古本に魅入られ、彼女はルーマニアの地を旅する決意をします。
ルーマニアといえば、ヴラド・ツェペシュ。
串刺し公と恐れられた、悪名高きヴラド三世。
ルーマニアの地を旅しながら、亜希さんは断片的な夢をみるようになります。
彼はただの冷血漢だったのか、守るべき家族や故郷を持った父親だったのか。
皆様は、ルーマニアの地を旅したことがあるでしょうか。本作は、まるでその地を実際に旅しているかのように建物や観光地、食事の味などが細かく描かれています。それは偏に、作者様の体験や歴史に対する真摯な向き合い方、何よりも【愛】であると思います。
海外ドラマを見ているような本作。
オススメです★
悪魔公ドラキュラ。このブラム・ストーカーの小説のせいで間違ったイメージが広がってしまった。本当は神聖ローマ帝国のドラゴン騎士団に所属してたヴラド2世(ドラクル=竜公)の子だから竜の子ドラキュラなのである。そしてルーマニアの英雄である。
そしてオスマン帝国と戦い、十字架を守る竜の騎士であった。それどころか正教会からカトリックに改宗したのである。
『悪魔公ドラキュラ』はあくまでもブラム・ストーカー著作の中の話であり本当は竜の旗のもとに戦った。
「そんなことは知っている」というのかもしれない。でも事実はいつまでも「悪魔公ドラキュラ」のイメージが付いたまま。そのイメージを打破してくれる作品であると思う。
著者はルーマニアに3回も旅行したという。つまり本作は著者のライフワークと言うべき作品である。ヴラド3世は「吸血鬼」などではなく「竜の化身」だったのだと。