私は自分の生きたいように生きます!!〈ヒロインの思う壺なんて絶対嫌!!〉
如月 沙奈
幼少期
プロローグ
「これから、あんたは侯爵家の娘になるんだよ。」
そう母に言われたのは数週間前の事。
私は娼婦である母に10歳になる今まで育てられてきた。そんな私はしっかり育てられたわけでもなく、いや軽い育児放棄だったかもしれない。
こんな日々が一生続くと思っていた。
そんなある日、母は私を育てるのが嫌になったのか、急に侯爵家へと連れて行かれた。
母は私を屋敷の外において中に入っていった。
どれくらい時間が経っただろう。
知らない人達が屋敷から出てきて私は中へと引っ張られた。
そこで初めて私がイーディス侯爵家の血を引く娘だと知ったのだ。
貴族の血を引いているなんて夢にも思っていなかった。
だって着ている服はボロだったし、髪の毛もボサボサ。こんな私が貴族の庶子だとは誰も思わないだろう。それでも、確かな証拠があった。
私の目は紫色だったのだ。
何でも、イーディス侯爵家は代々目が紫色らしく、どんな母親であろうともこの目さえあれば、イーディス侯爵家の娘だと認めてもらえるらしい。
でも、イーディス侯爵家の当主である父には
「お前を娘だとは思わん。まあ、世間体があるからある程度の扱いはするが。」
と言われた。
私は父の威圧に縮こまってしまった。こんな目をしている人は初めて見たからだ。
これから、虐められたらどうしよう。子供ながらに不安に思ったけど、それは杞憂だった。
お世辞にも綺麗とは言えない私の容姿に父は既に興味をなくしていた。
もちろん、ここまでは私も普通の子供だったのだ。
一般的な頭脳の子供。
でも、それはある日を境にして変わってしまった。
私は本館に住むことは許されず、古びて住めるかどうかも怪しい、別館に住むことになった。
汚れきっていて、最近は全く使っていないことは明らかだった。
用意された部屋はかろうじて綺麗にされていたけど、他の部屋は見るに耐えなかった。
だから、私は用意された部屋に入ったのだ。
すると、そこには大きな姿見があった。
私は鏡を生まれてから一度も見たことがなかった。
好奇心で、鏡を覗き込んでその姿を見た瞬間、私の頭に記憶が駆け巡った。
そして思い出したのだ。
ここが『光の聖女の運命』という乙女ゲームの世界である事。
私がその中のキャラクターである、セリスティア・イーディスである事を。
つまり、私の前世を。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます