怪奇編集部
香澄
フジミノオカ
序章 サクラマウ
桜咲く…。
ここは毎年、立派な桜の花が咲く。
いつからあるか、相当昔からあるようで、地元では、富士見野丘と呼ばれている。
特に人でごった返すことなく、青い芝生の丘に一本、見事な景色を毎年見せてくれる。
それもそのはず、ここは、富士見野学園の敷地内だからだ。ここからは、運動場が丸見えである。
この春、学園の3年生になる坂崎康介は、ここが1番のお気に入りだ。晴れた日は、ここで昼休みを摂ることもある。
しかし、なぜここはいつもこんなに静かなのだろう。たまには生徒も来るようだが。
風に吹かれて、明るい茶色の前髪がなびく。
「そろそろ、床屋行かないとなぁ。前髪が邪魔だわ」
と独り言を呟きながら、軽く首を振って、ふと下を見ると、いつもと変わらない、小さなお堂に目が行く。
ここが、丘のままなのは、このお堂があるからとも聞いている。
あまりにも小さなお堂なので、由来も何も分からないが、教師にでも聞けば、答えてもらえるのだろうか。
(んー、めんどくせ)
そう思いながらも、いつも同様に、青い芝生の上に寝転がる。
(午後の授業も、めんどくせーな)
ウトウトと目を瞑りながら、時を過ごす。
すると、あっという間に昼休憩など終わってしまうのだ。
それはもう、睡魔に時間を奪われたかの如く。
そして、ふと、頬に柔らかな物が触れたような気がして、目が覚める。
(ん?)
起きて見回すも、特に何もなく、誰もいない。
気のせいか…と重い腰を上げて、教室へ戻る。
そんなことが、ここ何回も続いていた。
怪奇編集部 香澄 @payan726
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