おっさんの俺に憑いて来られても困るんだが。

　2020年の夏――新型コロナウイルスの緊急事態宣言が漸く解除されたものの、へたれ中年サラリーマンの俺は、まだまだ安堵できずに単身赴任先のアパートで戦々恐々の日々を送っていた。ある日、会社の上司に勧められ、気分転換に車でとある森林公園を訪れてみたのだが、これがそもそも間違いだったのだ。帰路に就こうとすると、いつの間にか白いワンピース姿の見知らぬ若い女性が助手席に乗っている。姿がシースルーで、明らかにこの世のものではない存在。このまま憑いてこられても困るので、俺は何とか成仏してもらおうと、彼女に何かやってほしいことはないか聞いてみた。すると、彼女は嬉しそうにこう言ったのだ。パワースポット巡りがしたいと。パワーを蓄えれば、ひょっとしたら成仏できるかもしれない――その前向きな考え？に、俺はがやむなく付き合うことになったのだが・・・。