第2話 空想

朝になった。昨日の悪夢みたいな一日から解放された。

「あれはなんだったんだろう……。」

机の上に置いてあるハーバリウムが見られない。けど、不思議と悲しいとかは思わない。

「あ、朝ごはん食べなきゃ……。」

階段を無気力に、かつリズミカルに降りる。

「たん、たん、たん、たん……。」

「あ、おはよう。」

おはよう。ニコ。

って出来たら良かったのに。

「おあよ。」

あの人のおあよ、が移っちゃってる。


早く取りに行かなきゃと思いつつ1週間経ってしまった。

愛車をほぼアクセルべた踏みで走らせて彼の元に行く。

何が足りなかったんだろう。私では、足りなかったんだろうか……?

自分の部屋で、結婚雑誌をチラッと見たこともあった。

彼氏に内緒で、ドレスはこういうのがいいとかティアラはどうしようとか。

だけど、彼は結婚式を挙げたくないと言っていたから、理想の物語になっていたけれど、それは理想とはならず、最早空虚のものとなって消し去られてしまったこの事実。私の中に突き刺さる。

本当は、抱きついて、泣きついて、忘れられないのっていいたい

ピンポーン……。

「ごめん……忘れ物してて、取りに来た。」

「……ん。」

笑わないのね。もう。

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