始まりの日
「この教室ですね、あぁ、あそこです、あそこです。帰る時、もう一度用務員室に来て下さい、最近は施錠がうるさくて……では――」
「はい、本当にありがとうございます。……うん、これ、これだよ!」
「ねぇ、お父さんと昔使っていたのって、これ?」
「そうだよ、お父さん、最初はとても下手っぴでね。いっつも指を痛くしていたの」
「ほんと? だってだって、私、いつもお父さんに負けちゃうのに?」
「今日、夜に聴いてみると良いよ? 多分、『そんな事は無い』って言い張るけどね」
「うん、聴いてみる! ねぇねぇ、早く持って帰ろうよ!」
「そうだね。特別に用務員さんに頼んで、オッケーを貰ったんだから……ちゃんと、用務員さんにお礼を言う事。それと、カロム盤の手入れを手伝う事。憶えている?」
「うん、憶えている!」
「偉い偉い。じゃあ、準備しよっか」
「はーい。カロム盤さん、これからよろしくね!」
古盤の話 文子夕夏 @yu_ka
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