君乃高校DTM同好会へようこそ！(仮題)

プロローグ

｢有名アーティスト急死 享年31歳｣

　春先に流れ込んだニュースは私の心に大きな穴を空けた。

時がたった今でもそれは鮮明に覚えている。

元より忘れられるはずもない。

しかし痛ましいほどに募らせたあの悲しみは全て時間がさらっていった。

私の中に残ったものは虚無感だけ。

空っぽになった心にいくらものを詰め込んだって、形の合わない異物では隙間をぴったりと埋めることすら出来なかった。

だから金輪際満たされることは無い。

それでもこのやるせない気持ちを抱いて生きていくしかないんだと言い聞かせた。

悲しみに暮れる暇など到底ない。

いつか私の音楽を貴方へ届けたくて___