第五回 風の中から、


 ――千佳ちか! 千佳……


「千佳子」ではなく「千佳」と、僕の名を初めて呼んでくれた。



 ――太郎たろう君。


 ……何だか泣き声だけど、

 僕のためなら、もう泣かなくていいんだよ。


 君は、いつも僕のことを守ってくれたから、……心から、ありがとうだよ。




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