第四回 二人で奏でる夢の共演! それは対戦、二人の初対戦。
――そうなの。基本は対戦ゲームなのに、意外とこの日が初対戦なの。
僕の一人称がまだ『私』だった頃の、穏やかな春の帳。君と出会って、もう半年……同じゲームをするでも、
お互いに、もう中学校へ入学の時期なのだけれど、
……エスカレート以上に飛躍する『陰湿ないじめ』――ずっと、「ずっと、
「圧勝!」という言葉が、ほんと相応しい太郎君。
この頃から既に強く……僕よりも遥かに。でも、でもね、笑えるくらい楽しいの。とっても温かくて、吐息が出るくらいハートが温かくて、
……ずっとこのまま、
千佳という僕の名が、ずっと、千佳子になっても。
いじめなんか我慢しなくて、ずっと学校を休んじゃっても。――我慢しなくていいの。
太郎君が大好き! それは確かに初恋。――そう確信する。
そして口づける! 涙が出るほど嬉しく……時を忘れるほど、そのままで、――でもそれは、嵐の前触れと知る。……無情にも、その温もりに気付いた時にはもう、陰湿ないじめは、手に負えないほどの雷雨となって、僕に……ううん、私を襲った。
その日が、ちょうど一年前……
お母さんに「もう学校行くのやだ!」と言った日だった。……でも、でもね、お母さんは「行きなさい!」と言うの。春の嵐の渦中で轟く雷鳴! 薄れゆく、今何が起こっているのかを――初潮を迎えたばかり、それ以上に痛くて涙さえ流しても容赦なく乱暴で、もう赤ちゃんできる体なのに……濡れたコンクリートの上、散らばる下着と制服……露わになった素肌のまま、枯れない涙……いじめはもう、取り返しのつかない犯罪となった。
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