魅力的な「悪」

殺戮人形とよばれ、命じられるままに人を殺すことを定められた幼い姉弟たちが、人間の心を取り戻してゆく――といった内容は、作品のあらすじや他のレビューをご覧いただくとして。

『七つの鍵の物語【神話編】』の世界を受け継いだ作品です。重厚でボリューム感のある【神話編】とは打って変わって、こちらは各話が短くコメディ色も強めなので、Web小説としては読みやすいかもしれません。
前作を知らなくても問題なく楽しめると思いますので、こちらから入ってみても良いと思います。もちろん、背景となる前作を知っているとより面白いですので、後から【神話編】も訪ねてみてください。時間をかけて構築された壮大な世界観を楽しめます。

個人的に、この作者様の作品で特に好きなところは、悪役がとことん強く・冷酷に描かれるところです。やり過ぎると書くほうも読むほうもツライ……なんて遠慮や手加減は不要! あっさりやられて主人公の引き立て役になるだけの悪役なんていなくていい! そんな方に是非読んでいただきたい。
圧倒的な強さと悪を貫く――そんな悪役を描くのって、案外難しいように思います。でも、そんなキャラには、きっとそれだけの過去や想いがあるのではないだろうかと、その裏に魅力を感じてしまいます。

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