Re:【最後に】(加筆)

 後書きを加筆すると決めたはいいものの、何から書き出していいやら分からない。とりあえずは、その後の話から始めようと思う。まあ、ちょっとした自慢話になるのかもしれない。

 実は本作が掲載されたエアミス研同人誌第一号を、ファンレターと一緒に飛鳥部先生に送らせて貰ったのだが、残念ながらそれは先生の元には届かなかったようだ。私のミスか、何らかのトラブルか、あるいは多忙な編集部のデスクに埋没してしまったのだろう。

 しかし、その後先生が絵の展覧会を開かれた際、あるお方が同人誌を直接渡して下さり、数年越しに先生の元に届くこととなった。

 それだけではない。先生は拙作を読んで下さったばかりか、そのことを「このミステリがすごい! 2017年度版」(宝島社)のエッセイ「私の隠し玉」において触れて下さっている。そこで先生は「静かな感動を覚えました」と書かれているが、それを読んだ私が覚えたのが、「静かな感動」どころではなかったことは、わざわざ言うまでもないだろう。

 さらに、私は銀座で開かれた先生とその奥様の二人展に行き、先生に直接お会いする機会を持つことが出来た。月並みな表現だが、先生もその奥様も、さらにその画廊のオーナー様も非常に良いお方達で、楽しく貴重で、そして夢のような時間を過ごしたことは記憶に新しい。

 昨年にも、名古屋で同様の二人展を開かれた際に遊びに行かせて貰っている。また、こういった機会があれば、参加したい。

 閑話休題。

 さて、ここで皆様には、良い知らせと悪い知らせがある。

 まずは悪い知らせ。2020年4月現在において、飛鳥部勝則の新刊は「黒と愛」以降刊行されていないということ。

 そして良い知らせは……つまり、本作の「全長編レビュー」という看板には、まだ偽りは無いということである。

 前書きにて、昨今私のTLで飛鳥部先生の名を見掛ける機会が増えたということには既に触れた。ジワリジワリと人気が高まっているのは嬉しいことだが、残念なことに先生の著作は、Amazonマーケットプレイスなどで値段が高騰する一方であり、入手難度は更に高くなっている。需要がある証拠と言えば聞こえは良いが、読みたい人に本が届かないという現状は悲劇でしかない。何とか適正価格で手に入るようになることを祈ってはいるが……。ちなみに、電子書籍で読める作品もあるが、それも僅かである。

 入手が極めて困難な作品を薦める記事を、このタイミングで公開するのは正直、心苦しいものがあるが、機会があれば手に取って貰えれば幸いである。そして、それが皆様にとって素晴らしい読書体験となれば、それに勝る喜びは無い。

 最後になるが、次の長編レビューを書く日が来ることを夢想しながら、こんな蛇足な後書きまで読んで頂いた皆様への感謝を述べて、筆を置きたいと思う。ありがとうございました。

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本格『涅槃』推理作家 飛鳥部勝則 全長編レビュー 皐月あざみ @S_Azami

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