第3話

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 その後の事について、翔太はあまり関心を持たないようにした。

 正直、自分がしでかしたことがこれほどの犯罪を明るみにしたことで少し怖くなったのもある。

 翌月にはバイトを止めて、普通の高校生活に戻った。

 所詮自分のちっぽけな正義感なんてものは、きりの良い所で身を引かねばどんなことになるかわかりやしない。

 実際、Tはその後大阪で捕まったと人づてに聞いた。

 どうしてこんな都会とも離れた場所でそんな覚醒剤の渡しをするようになったかは分からないが、総じて犯罪というのは一般人より想像力と行動力が豊かなのかもしれない。

 ここでは林道を行く人が給油をするが、もし給油が途中できなければトランクに入れたポリタンクのガソリンで自ら給油をしてもおかしくない。

 そんな『普通』の中に犯罪を隠せば、世間一般からは分からないと考えたのかもしれないと思った。

 しかし、と思う。

 赤い毛布にくるまれた女の死体はどこで殺害されたのだろう。


 ――いやいや、

 と翔太は首を振る。


 それは警察がおのずと調べて分かる事なのだ。

 今、自分はアルバイトで稼いだ金で街に出て何かを買えば良いのだ。

 それだけで青春が足りればそれでいいじゃないか。

 違うかな?

 そう思って財布の中に入れた四角く折れ曲がった一万円札を見ると、翔太は静かにほくそ笑んで駅のホームに入ってきた電車に乗り込んだ。

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翔太のアルバイト / 『嗤う田中』シリーズ 日南田 ウヲ @hinatauwo

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