濃厚な旋律、軽快なリズム、交響曲のような短編集です

最初の「あんぱんを食う小娘」でぐっと心を掴まれました。
そのあと「声を追う」で完全に脳髄を掌握され、もはや有頂天になりました。

その他たくさん感嘆の声が漏れる作品ばかりで、特に「英雄を失った日」はわたしの心に刺さるものがありました。
絶対的な存在だと思っていた……それなのに。
嬉しくもあり悲しい、複雑な想いが小気味良かったです。

あと、ときどき題材として出てくる探偵もの。
続いているようないないような……短編ならではのこう皮一枚でつながっていく感じが不思議でした。

さらりとした詩から、背筋を凍らせるホラー、心ときめくファンタジー、そして死を意識させる描写。
多種多様な作品が公開されていて、次々と一気に読んでしまいました。

50話で完結されていますが、終わることなくずっと書き続けて欲しい、そう思わせてくれる短編集です。^-^