物語を読み始めた時、イチリヅカには“僕”がいて良かったと思う。個性を、ちゃんと個性として認めるのは簡単そうで難しい。他人と違っているというのは、良しにつけ悪しきにつけ、当人にとっては悩みの種(時にはもっとひどい感情)を抱えることになるのだろう。誰もいない街で二人きりになった時、お互いが感じるものは、外見の個性よりも内面の個性に変わる。物語を読み終わった今、“僕”にはイチリヅカがいて良かったと思う。
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