10 あなたのことが…
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「あなたのことが大嫌いです。今後一切、私に関わらないでください」
高校二年生の春、俺は今、告白をされている。
人生初の女子の呼び出しに、心躍るものを感じたのだが、期待していなかった告白を受けてしまった。
童貞非モテキモヲタな俺だが、もちろん女子には興味はあるし、恋愛に発展できるのならしてみたいと考えたことがあるのは、一度や二度ではない。
自分で言うのもアレだけど、俺は顔はそこまで悪くはないと思っている。全世界の非モテな方々は誰もが思うだろうが、自分は決してブサイクな顔ではない。寧ろかっこいいのでは…と。
しかし、中身が大事とばかり言って、見た目に気を配らない男子諸君。君達はモテない側の人間だ。
だが俺は違う。見た目にも気を配り、誰にでも優しくして来た。キモヲタだけど面白いよなのポジションをキープしながら、いつでもモテる為の準備を怠らなかった。
…現実がコレだ。
「あの、──さん」
「名前、呼ばないで。気持ち悪い」
別に、嫌いではなかったけど、好きでもないクラスメイトAのポジションの人に、俺は聞いた。
「…なんで、俺はあなたのことが大嫌いですって告白されているんですか?」
問題はそこだ。
先程までうだうだ御託を並べてきたが、原点こそが問題だ。
俺が一体何をしたと言うのか。
「いや、クラスの人達皆気がついてるんだけど」
──は、その前置きに、全てを話す。
俺が、モテる準備をする為に頑張っているのに、皆は気がついていた。
そして、標的が決まる前に、自分は無理だと断っておこうと、そう言うわけだ。
「とりあえず、キモいからあと関わらないで」
そう言って、──は立ち去って行った。
その後も数人の女子達から、あなたのことが大嫌いです宣言を受け続けた。
「あの、いいですか?」
大人しそうな地味目の女子が話しかけてきた。
またか、あなたのことが以下略宣言。
「知ってる。関わらないからその宣言止めてくれ」
そう言って、その場を離れようとするが、腕を引っ張られた。
「なんですか?あなたも俺のことが大嫌い宣言の人だろ」
「私はあなたのことが大好きです!」
「…………は?」
思考が止まる。
いや、待て。
「…もう一回」
「…返事をくれたら、言います」
おそらく俺の聞き間違いではない。
「なん…で?俺のことが嫌いじゃあないの?」
しかし、彼女は首を横に振り、答える。
「…前から好きだったけど、自信なくて。でも、皆があなたのことが大嫌いなら、私はあなたと…その、恋、人になれる…チャンスというか、その、今が告白のチャンスでした!」
俺の目をしっかり見ているその少女に、俺は心を捕まれてしまった。
この子になら、騙されてもいい。
「俺も、今好きになりました」
その告白を受け止め、一歩前へ。
「俺と付き合ってください」
彼女は笑顔で、
「はい」
誰もいない校舎に好きを満たしていた。
「じ、実は、私もその、ヲタクです」
オタクをヲタクと言うところに、ホンモノを感じた。
「アニメとか語りながら、お互い好きって、いいですよね」
「…そうだな」
「そう言えば、今回の日朝枠見ました!?」
「あ!ということはお前もあのシーン見たのか!」
「はい!マジ今回の監督いい仕事しますよね!」
「それな!まさかヒロインの女の子が…」
二人は仲良く、語り合いながら、その顔は幸せに満ちていた。
二人がその後、どうなったのかはまた別のお話。
Diary Life ゆゆゆ @yuma1225
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