9 これでいじめはもうない

▪️


絶望した。

私は、この学校に、教師に、クラスメイトに、全てに光を失った。


「先生、私、いじめられてます。助けてください」

一月程前、いじめられていることを相談した。

「…分かった。誰に、何をされた?言える範囲でいい。言ってくれ」

先生は私の話を聞いてくれた。

「…辛かっただろう。明日、ケリをつける」

私は涙を流して、勇気を振り絞って、よかったと思えた。


しかし、その先生は実に馬鹿だった。


今日、朝のホームルームにて、先生は言った。

「昨日、──から、いじめをうけていると報告があった」

その言葉に、クラスがザワついた。

ただ一人、私を除いて。

「──は、その生徒達に、暴力、盗難、強姦等をされていたと聞いた。覚えはあるな?」

クラスの皆はいっせいに私を見た。


なぜ、今、皆の前で、それを言う。


その話は校長の耳にまで届き、いじめた生徒は退学処分。

私は、その生徒達に嘘をつかれた。

お金を受け取っていると。

校長も、どうやら学校に泥を塗るようなやつを置いておく気はないとばかりに、私も退学処分にされた。


「どうして、どうして…」

私がショックをうけていると、担任が言った。


「よかったな、これでいじめはもうない」


その笑顔に、私は脱力した。

そうか、この先生は、約束を果たしたのか。


これで、いじめることの出来るやつは、もう、いなくなった。

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