8 お互いさっきのあれは忘れましょう!
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さて、やろうか…。
そう言った半透明な少女は、部屋の机の上に首だけが見えるように、自分を配置した。
お前を、驚かして、呪って…あははははっ。
ガチャ。
玄関に物音。
帰って来たか、──。
とた、とた、とた、とた。
階段を上っている。
さあ、もう少しだ。
らしさを見せるために、半透明な少女は少し気だるさを出した。
カチャ。
部屋のドアが開く。
さあ、驚け、──。
「…………」
………。
まあ、見えてないよね。
そして──は、そのまま服を脱いで着替えはじめた。
いや、待て。待て待て待て待て。いるから、私見てるから!女子の前で着替えるとかなんなの!
逆に、半透明な少女が驚かされた。
ええ、や、えええええ?
しかし、顔は背けず、しっかりとその体を見ていた。
綺麗な筋肉。へええ、結構鍛えてたんだ。
と、──はパンツにも手をかけた。
や!待って!それは、それ以上はダメ!
スっ。
ひゃあああああああああああぁぁぁ!
「うるせえ」
ああああああああぁぁぁ?…え?
「え?じゃねぇよ。うるせえ」
え?何?見えてんの?
「ん、机にハマってた時から見えてたな」
や、ハマってたわけじゃないし!驚かそうとしただけだし!
「驚かそうとするならもう少し怖くなれよ」
え?怖くなかった?
「…お前は、俺を驚かそうとするには少し、可愛すぎたな」
笑顔で──は言ってきた。
「お?幽霊ってのは照れるもんなんだな」
…もう、ばか。
半透明な少女は、涙を流して消えていった。
「俺が、そっちに行くまで待ってろよ」
あ、早くは来すぎないでね。
「成仏したんじゃないんかい」
や、もう少し遊びたいって言ったらOKもらった。
「あの世の制度ゆるゆるだな」
私は可愛いからいいの。
「さっきの感動を返せ」
お前は、俺を驚かそうとするには少し、可愛すぎたな…キラッ!
「さっきのお前の泣き顔ツイッターにあげよっかな」
お互いさっきのあれは忘れましょう!
「えー、どうしよっかなあ」
──と少女には、別れの言葉は必要なかった。
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