7 タイムカプセル

▪️


小学生の時、私は──とタイムカプセルを埋めた。


二十歳になったら、このタイムカプセルを開けよう。


二人で約束をした。

そして今、そのタイムカプセルを開けようと、掘り起こしている。

「お前さ、どんだけ深く掘ったの?二時間くらい掘ってるけど出てこないよ」

当時馬鹿だった私は、そのタイムカプセルをめちゃくちゃ深く掘って埋めたのだ。

…たしか、三日くらいかけて掘った気がする。

「いや、あの時はほら、若かったというか?子供は風の子元気な子って言うじゃん?」

彼は、私のその言葉に少しふらつきながら、穴の中から出てきて休憩を所望した。


「あの時、何埋めたんだっけかな」

「え?覚えていないの?」

「十年以上前だからなあ。覚えていないよ」

「…私も何埋めたのか覚えていないんだよね」

「いいじゃん。掘り返した時、自分の黒歴史が分かるかもよ」

「私はそこまで馬鹿なことはやってません…多分」

私は小さな声で保険をかけた。

「さて、続き、やりますか」

「だね」

そう言ってまた、掘り返した一刺しに、金属音を聞いた。

「うん、あったな」

──と私は金属の箱をそこから取り出し、泥だらけなお互いの顔を見て笑った。

二人はそうして箱を開けずに、それぞれ何を入れたのか思い出した。

「開ける前にさ、俺、言いたいことあるんだよね」

──はそう言って、笑顔を作った。

「そう?私もあるよ」

そして二人は、同時に声を出す。


「「結婚しよう」」


開けられた箱の中には、手作りの、不格好な指輪が二対入っていた。

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