6 告白
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「今度の大会、優勝したら俺と付き合ってくれ」
俺は前から想いを寄せていた、マネージャーの──に、告白をした。
ストレートに伝える勇気のなかった、遠回しな告白。しかし、随分と王道的な告白だと思う。
「…いいよ」
その返事に、俺は気持ちが浮ついた。
グッと握りしめた拳と笑顔を作った俺は、彼女をまるで見ていなかった。
その後、大会で優勝した俺は、晴れて──と付き合うことになった。
一緒に学校に行って、部活を頑張って、デートもして、俺にとって楽しい日々を過ごした。
そんなある日、──は俺に言った。
「この前の大会、優勝凄かったね」
今さらそんな事を言われると、少し照れてしまう。
「まあ、お前と付き合いたくて頑張ったからな」
素直な気持ちだ。
俺は、──の理想の彼氏になれたはずだった。
パチンッ!
音が耳に直接聞こえる。
横を見ると、──は泣いていた。
そうか、俺は叩かれたのか。
なぜだ?
「私は、あなたに好きだから付き合ってほしかった…」
何を、言って?
「本当は、あの時、好きですって言ってほしかった!」
ああ、そうか。
「あなたの為に…私はいるんじゃない…」
最初が、間違いだった。
「私達の為に、頑張ってほしかった」
作られたセリフなんかじゃあなくて。
「…さようなら」
自分の言葉で伝えられればよかったんだな。
「次は、あなたの為になる人、見つけられるといいね…」
好きです…って。
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