6 告白

▪️


「今度の大会、優勝したら俺と付き合ってくれ」

俺は前から想いを寄せていた、マネージャーの──に、告白をした。

ストレートに伝える勇気のなかった、遠回しな告白。しかし、随分と王道的な告白だと思う。

「…いいよ」

その返事に、俺は気持ちが浮ついた。

グッと握りしめた拳と笑顔を作った俺は、彼女をまるで見ていなかった。


その後、大会で優勝した俺は、晴れて──と付き合うことになった。

一緒に学校に行って、部活を頑張って、デートもして、俺にとって楽しい日々を過ごした。


そんなある日、──は俺に言った。

「この前の大会、優勝凄かったね」

今さらそんな事を言われると、少し照れてしまう。

「まあ、お前と付き合いたくて頑張ったからな」

素直な気持ちだ。

俺は、──の理想の彼氏になれたはずだった。


パチンッ!


音が耳に直接聞こえる。

横を見ると、──は泣いていた。

そうか、俺は叩かれたのか。

なぜだ?

「私は、あなたに好きだから付き合ってほしかった…」

何を、言って?

「本当は、あの時、好きですって言ってほしかった!」

ああ、そうか。

「あなたの為に…私はいるんじゃない…」

最初が、間違いだった。

「私達の為に、頑張ってほしかった」

作られたセリフなんかじゃあなくて。

「…さようなら」

自分の言葉で伝えられればよかったんだな。

「次は、あなたの為になる人、見つけられるといいね…」


好きです…って。

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