5 エイプリルフール
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「今日の天気は雨です!」
俺の弟の──は、突然叫びながら部屋に入って来た。
「分かった。傘、持って行くよ」
そう言って玄関に向かうと、リビングのテレビから天気予報の音声が聞こえた。
『本日は降水確率零パーセント。しばらく雨は降らない模様です』
一瞬どういうことかと困惑したが、思い出した。今日はエイプリルフール。つまり、──は俺を騙したのか。
俺は玄関から出る時、傘を持たずに家を出ていった。
帰り道、めちゃくちゃ土砂降りだった。
「…──は天候を操るのか…」
アホなことを口にしていると、駅に向かって弟が走って来た。
「お兄ちゃーん!」
その手には傘を持っていた。
「はい傘」
俺に傘を渡した──と一緒に帰ることになった。
「お前、天候を操るのか?」
一応聞いてみた。
「違うよお兄ちゃん。お兄ちゃんに今日の天気教えた時にチャンネルの再生ボタンを押したの。あの天気予報、録画だったの」
聞いて呆れる。が、随分手の込んだエイプリルフールだと、感心もした。
「でも、お兄ちゃん風邪引いちゃダメだから、帰って来そうなタイミングで迎えに来たの」
弟の──は、兄の目にも雨を振らせた。
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