オタクはカテゴライズできない例外存在が好き(クソデカ主語)

 近未来SFでサイバーパンクでディストピアでポストアポカリプスでハードボイルドでオカルト……という、約三万文字の中にひしめき合うようにして多彩な要素が詰め込まれた、豪華なアンソロジーかと見まごう作品です。手に取りやすい文字数ゆえに、前述のジャンルの中にピンとくるものがあれば、即座に読んでみてほしいのが本音。

 そのうえ、本作を際立たせているのが「漫画を主体としたオタクカルチャーの柱」です。
 パロディネタは第四の壁を超えてしまうため、好みが分かれ、時には現実との差異を自覚してしまいかねない扱いづらい要素ですが、それをあり得るかもしれない未来を舞台にすることでシームレスに踏破しています。
 本作を敢えて言い表すなら、「近未来SFオタクカルチャーフィクション」でしょうか。とはいえ一言で表せないのが魅力であり、現実の延長線上にあるためカテゴリーの現代ファンタジーもまた、あながち嘘ではないというのが最大のネックかもしれません。

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