彼らは一体どのようにして、絆を築いていくのだろうか?

【物語は】
ある辛い記憶とも呼べる、一場面から始まっていく。この時点ではプロローグが物語に、どう関わって来るのかの予想は難しい。だがとても重要な部分であることは、間違いないだろう。
本編に入ると、主人公の視点へと替わる。彼は八年務めてきた勤務先を、人員整理で自主退職し、無職となった彼が途方に暮れていた。
そんな彼に舞い込んできた、バイト依頼。まだやるとも言っていないのに、強引に押し付けられてしまう。
果たして、このバイトの依頼によって齎される出会いは、主人公にとって吉となるか、凶となるのか?

【登場人物の魅力】
本編が始まり、段々と主人公について分かって来る。それは押しに弱く、お人よしであること。そして、細やかな気遣いができること。仕事に対しての姿勢が真面目であることなど。それに加え、天然であることも分かって来る。
人に好かれそうな彼が、どうして人員整理の対象になってしまったのか、について考えてみた。きっと、彼なら不満や文句を言わないと考えたのではないだろうかと、予測。しかし読み進めているうちに、その答えに疑念が。

この後彼は、不愛想な観光客に自分から話しかけようと試みる。あまりに反応がない為、言わなくて良いことまで口にしてしまう。その中で、主人公がとても正直者であり人に好かれる人物でありながら、人づきあいが巧いわけでないことを知る。つまり世渡り上手というタイプではないということ。
その事から彼が、人員整理対象になってしまったのは、そういう部分が理由なのかも知れないと思いなおす。

観光客について。彼は無愛想だけでなく、周りを警戒しているようにも感じた。主人公とのあるやり取りの中で、口元が緩む部分がある。詳しくは書けないが、ペンギンが好きなのだろうか、それとも……と謎を呼ぶ。
同時に、この人は一体どんな人なのだろうかと、好奇心を刺激する。

【物語の魅力】
心理描写を含めたいろんな描写が丁寧である。流れるように物語が進んでいく印象。現在どこにいて、どんな状況なのかがとても分かりやすい。
外国人観光客があまり話さない為、会話は多くないが、彼の反応により二人の間の空気感も伝わってくる。不愛想な彼は一見なんのアクションもしていないように見えるが、主人公が話をしている時はちゃんと相手を見ている。細かい描写により、見逃してしまいそうな相手の小さな変化に、気づくことが出来る。アクションをしないだけで、相手の話をちゃんと聞いているのだ。

主人公に関しては、とても素直な感情が伝わってくる。分かり辛いように思えるが、確実に二人の心の距離は、空港で初めて会ったときより近づいているのだ。今はまだ(エピソード5あたりでは)、観光客の目的が明かされていない。この物語には、笑いの部分も多い。その理由は、主人公が理不尽に振り回されているからなのか、この組み合わせのせいなのか。
だが、笑いに至った根本的な原因は、バイトを紹介した人物にあると言っても過言ではない。(エピソード5までの印象です)

【物語の見どころ】
まず、主人公がとても魅力的であること。そして周りにいる人物に、それぞれ個性があるところが魅力的。
始まりは暗い雰囲気で始まる。その事については、いづれ詳しく分かる時が来ると思う。主人公が面倒を見ることになった観光客は、どうやら訳ありだ。何らかの目的を持ち、それを遂行するためなのだが、主人公は”そんな話は聞いていない”という事態に巻き込まれていく。先が読めないからこその魅力や好奇心を誘うのだ。

そしてあらすじにある通り、”平凡な元サラリーマンと孤独な異国の暗殺者の絆と成長の物語”である。不愛想でコミュニケーションが取れているかどうか、序盤では分かり辛い二人が、いかにして絆を築いていくのか。
そこが最大の見どころなのではないだろうか?

あなたも是非お手に取られてみませんか?
魅力的な彼らの物語。この先一体何か待ち受けているのか⁈
お奨めです。


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Twitter特殊イベントでレビューを書かせていただきました
(タイトル・あらすじ・書き出し一行のみでレビューより転載)

書き出し一行はこちら
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気持ちの良い午後の日差しが新緑の木々の隙間から差し込んで、きらきらと揺れている。
(引用)
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まずこの作品を紐解くには、タイトルの”東方伝奇”これが重要な鍵なのではないかと考えた。何を指しているのかを考えるのには、一番しっくりくる”答え”を探すのが近道である。ここで見極めなければならないのが”東方”。東日本を指しているのか、アジア諸国を指しているのかで、この物語の規模が変わってしまうからだ。どちらが正解か、もし東の方角を指しているとするならば、このタイトルは”東京伝奇”となると思う。なんだかその方がしっくりくる。となると、この物語の東方はアジア諸国を指しているのではないかと推理する。
では伝奇について。意味を調べるとさまざまな資料が出てきた。ここには一部しか載せていないが、調べてみた先で、一番ぴったりなのが、補足3。何故、そう思うのかと言えば、サブタイトルの部分に注目するとその答えが見えてくる。
この物語は平凡な元リーマンと異国のツンデレ暗殺者が一緒に居るわけだ。どう考えても”世にも珍しい話”。つまり、この作品のタイトルは”アジア諸国を舞台とした世にも珍しい話”や”アジア諸国に起きた世にも珍しい話”こういう意味合いなのではないかと、思われる。その内容が”平凡な元リーマンが異国のツンデレ暗殺者と紡ぐ絆の物語”である。

さて、次にあらすじを見て見ると、ん?
聡明なあなたなら、ここまでで立てた推論がオカシイと気づくはずである。あらすじには、”観光にやってくる1人の外国人のガイドをすること”と書かれているからだ。恐らく日本にやってくるのだろうが、ガイドをするとは書かれているものの、国内限定なのか国外も含めるのかは書かれていない。すると、読み手はどちらか分からなくなる。これが”情報の制限”による攪乱というものである。
これによりなにが起きるのかと言えば、”読まないことには正解が分からない”。読み手は正解を知りたくなり”手に取る”のだ。私自身も、これは関東を股にかけた話なのか、アジア諸国という広範囲なのか知りたい欲で、うずうずしている。
このあらすじには、さりげなく謎が多い。”元同僚”が一体何者なんだという疑問や、ハードボイルドとほのぼの日常を組み合わせる奇抜さ、どんな内容なのか全く予想はつかないが、とても面白そうである。

書き出し一行を見て見ると、”日差しが新緑の木々の隙間から差し込んで”この文を見ると、自分は五月ごろをイメージする。明確に何月とは書かず、情景でイメージを沸かせることに、とてもセンスを感じる。この一文には、状態、景色、色、風など体に感じるもの、光。つまり五感を刺激する要素がたくさん詰まっているのだ。書き出しの一行に、これだけの表現を詰めることが出来るというのは、単に上手いだけではなく人の心を動かすような表現、言葉選び、作風を持ち合わせているということを示している。それをギャグドラマで惜しまず出すという。これは面白いだけの物語ではないという事だ。
さあ、あなたも彼らの日常を覗いてみませんか?
ここには、あなたが見たこともない世界が広がっているに違いない。

P10 のみでレビュー

【書き出し五文字】
伊織は2人

【P10の簡単な内容説明】
文化の違い、知識の違い(意識)

【P10について】
人とは潜入観の塊であるという事を早々に学ぶ。ここで思ったことは、価値観の違いと文化の違い。国によって、戦争に対する受け止め方もまた違うということ。日本には自衛隊はあるものの、徴収制度などはない。日常の中で、戦争について考える機会は少ないと思われる。主人公は、彼の買い物について行くこととなるのだが、その中で価値観の違いに気づくこととなる。少ない会話の中で、二人の性格の違いなどが垣間見える。無駄のないストーリー展開が凄い。料理の話からのくだりが特に印象深い。必然性というのは、こういうことを言うに違いない。その後、彼に言われた一言への主人公の反応がとても印象的である。

【これまでどんな内容だったのかを予想】
あらすじにあるように、広告代理店を自主退職した主人公。まずは退職の理由や奇妙なバイトを請け負うことになった経緯などが、描かれているのではなないだろうか?P10では洗濯をしていることから、同居の可能性が高いので、そうなった経緯についても描かれているに違いない。言葉は少ないものの、二人は仲が良さそうにも見える。これまでどんなことがあったのか、とても気になる作品だ。

【この物語の先の展開を妄想】
この時点では、まだツンデレ暗殺者の目的が語られていない可能性もある。仮に知ったとして、主人公はどんな反応をするのだろうか?この物語のポイントは”絆の物語”という部分にあると思う。P10の印象では主人公は、とても真面目な好青年(青年の年齢がいくつからいくつを指すのかは分からないが)。何らかの理由により、暗殺者の彼の事情に巻き込まれていくのではないかと思う。その結末がどんなものであるのか?是非、あなたもお手に取られてみませんか?

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