衝撃的な場面で始まる物語は一転として穏やかな日常を過ごしていた青年、伊織の物語から始まる。
きっかけは元同期からの電話。中国からの観光客を案内して欲しいというどこか怪しい電話から物語は始まっていく。
伊織と曹瑛の出会いはある意味、最悪だ。日常からちょっとした非日常へと転する瞬間は物語の始まりを感じてわくわくしてしまう。
何よりも曹瑛がとても魅力的で、どんな人なのか知りたくなる。その為に次のお話を読みたくなるのである。
何よりも二人が相棒になる過程が丁寧に描かれている。国や文化、育ちが違う二人が少しずつ心を開いて友人のようになっていく過程に心が温まる。そして食事の描写はとても美味しそうで読んでいるうちにお腹が空いてしまう。
少しずつ日常から非日常へと向かう物語はアクションの格好良さを堪能出来る物語へと変わる。
このアクションが格好いい。本当に格好いい。
二人が少しずつ相棒へとなる過程を見守りながら、食事や異国文化の楽しさも味わえる物語です。
巻き込まれ系のお人好し主人公と中国から来た寡黙な客人によるバディものです!
仕事を辞職した主人公は仕事探しが捗らず、途方に暮れていた。
そんななか、元同僚から割の良いバイトを紹介される。仕事内容は中国人の観光案内。
しかしやってきた中国人は日本語ペラペラで、しかも来日には目的があるらしく――。
第一章まで読んだ上でのレビューです。
序盤から巧みな風景描写、登場人物同士の掛け合い、知られざる中国文化ッ!!! で一気に惹き込まれます。
日本ではあまり聞かないような単語も出てきますが、精緻な筆致で丁寧に説明がされています。
私もカクヨムで中華風の作品を書く身ですが、作者様の描写はぜひとも見習いたいです。
「えっ……すぐそばにいる人が暗殺者だったなんて知らなかったんだけど!?」※ひとこと紹介文の和訳です。
日本人の主人公と中国人の客人の絶妙な関係に注目したい作品です!
天然・知性・肉体が個性的にミックスされた主人公の男たちも素敵ですが、彼らに叩き潰されるたくさんの悪役もそれぞれにキャラ立ちしていて、作者の筆力が光る作品です。
そしてその筆力は、イケメンだけでなく食べ物と旅行案内にもいかんなく発揮されています。ああ、水餃子、食べたい~~! 東京と河口湖とハルピンも、まるで実際に訪れたような気分です。
そして映画のようなスケールのでかい話の展開に、繰り返されるド派手なアクションシーン。読みやすくて面白くて(何度も笑ってしまいました)、1粒でこれは5度も6度も美味しいかも?
ぜひ読まれて、その美味しさの数を堪能されることをお勧めします。
本格的ハードボイルド作品。
描写がとても上手なので、ストレスなくスルスルと読み進めることができます。
天然だけれど、一本筋の通った正義感溢れる男、宮野伊織。
求職中に押し付けられたアルバイトは、中国人男性を観光案内するだけのハズだったのに、いつの間にか大きな闇の中へ自ら足を突っ込む羽目に。
一方の曹瑛は、中国からやってきたハイスペックイケメンで、日本語ペラペラ。
高身長で存在感があるのに、なぜか気配を感じさせない男は、ある目的のために日本へやってきていました。
立ちはだかる危険と戦いながら、信頼関係を結んでいく熱い物語です。
二人のほっこり日常も、手に汗握る危険なバトルも楽しめますよ。
みなさんも是非、足を踏み入れてみてください。お勧めです!
逞しい男だらけの登場人物と、ドラッグ、ヤクザ、マフィアという硬派なストーリーですが、日本、中国の観光、文化話。
畳み掛けるように出てくる美味しそうなご飯。
微笑ましい友情。
テンポの良い会話が織りなされ、とても読みやすくて楽しいエンタメ小説です。
登場人物のキャラクター付けと演出がとても上手く、どのキャラクターも生き生きとしていて魅力的。
本作の主軸となっている、完璧なようでいて色々と抜けたところもある格好良い曹瑛と、天然人たらしの才能がある伊織の友情が微笑ましいです。
作者の「これを書きたい」「これが好き」という気持ちが素直にいっぱい詰まった作品でした。
物語はまず、中国の寒村から始まる。
モノトーン調の、誰とも知れない者の悲哀と憎悪と悔恨に満ちた回顧。白黒の寂れた村に、唯一、凄惨な流血の赤だけが浮かび上がる。そういう情景の序章は、血を血で贖うような復讐劇の開幕を思わせる。
だがその予想を裏切って、物語は一転、一見平和な東京を舞台に変える。地方出身のしがない元サラリーマン──伊織。人の良い、良すぎると言っても過言ではない、流血とは縁遠い場所にいる男が主役だ。
彼は元同僚から押し付けられた中国人の観光案内のバイトをきっかけにして、もう一人の主役である男──曹瑛と出会う。カタギとも思えない、怜悧な眼光と剣呑な気配。それも道理だ。彼はまさに血溜まりに身を置く黒社会で名の知れた凶手──中国マフィアお抱えの殺し屋だった。
伊織と曹瑛、交わるはずのなかった二人が交錯する。これまで安穏とただ流されるがまま生きてきた伊織は命を賭してでも運命を切り開こうとする曹瑛の強く気高い意志を知り、これまで流血と悪意渦巻く世界にしか知らなかった曹瑛は伊織と過ごして平穏と安らぎに触れて、彼らの道は、道行きを共にする他の仲間達をも巻き込んで、その流れを巡るましく変えてゆく。
ハードボイルドの王道と言えば、他者の理解を拒む者の独り語りだ。苦いばかりの珈琲を好んで淹れる主人公が他の登場人物のみならず、読者の共感をも拒んで、己の内面を自嘲と皮肉混じりに語り、時には自分自身を騙しさえして、苦渋と後悔に塗れた人生を無糖のブラックで舌と喉を痺れさせながら飲み下す。
だがこの物語は違う。苦味の中にも、ほんのりとした甘さがある。いみじくも、物語の冒頭に曹瑛が無糖の珈琲を嫌う描写がされている。
甘党の殺し屋と、お人好しな相棒。そんな二人とその仲間達が繰り広げる微糖のハードボイルドが、一体どんな後味をあなたの口に残すのか、ぜひ一度確かめて欲しい。
【物語は】
ある辛い記憶とも呼べる、一場面から始まっていく。この時点ではプロローグが物語に、どう関わって来るのかの予想は難しい。だがとても重要な部分であることは、間違いないだろう。
本編に入ると、主人公の視点へと替わる。彼は八年務めてきた勤務先を、人員整理で自主退職し、無職となった彼が途方に暮れていた。
そんな彼に舞い込んできた、バイト依頼。まだやるとも言っていないのに、強引に押し付けられてしまう。
果たして、このバイトの依頼によって齎される出会いは、主人公にとって吉となるか、凶となるのか?
【登場人物の魅力】
本編が始まり、段々と主人公について分かって来る。それは押しに弱く、お人よしであること。そして、細やかな気遣いができること。仕事に対しての姿勢が真面目であることなど。それに加え、天然であることも分かって来る。
人に好かれそうな彼が、どうして人員整理の対象になってしまったのか、について考えてみた。きっと、彼なら不満や文句を言わないと考えたのではないだろうかと、予測。しかし読み進めているうちに、その答えに疑念が。
この後彼は、不愛想な観光客に自分から話しかけようと試みる。あまりに反応がない為、言わなくて良いことまで口にしてしまう。その中で、主人公がとても正直者であり人に好かれる人物でありながら、人づきあいが巧いわけでないことを知る。つまり世渡り上手というタイプではないということ。
その事から彼が、人員整理対象になってしまったのは、そういう部分が理由なのかも知れないと思いなおす。
観光客について。彼は無愛想だけでなく、周りを警戒しているようにも感じた。主人公とのあるやり取りの中で、口元が緩む部分がある。詳しくは書けないが、ペンギンが好きなのだろうか、それとも……と謎を呼ぶ。
同時に、この人は一体どんな人なのだろうかと、好奇心を刺激する。
【物語の魅力】
心理描写を含めたいろんな描写が丁寧である。流れるように物語が進んでいく印象。現在どこにいて、どんな状況なのかがとても分かりやすい。
外国人観光客があまり話さない為、会話は多くないが、彼の反応により二人の間の空気感も伝わってくる。不愛想な彼は一見なんのアクションもしていないように見えるが、主人公が話をしている時はちゃんと相手を見ている。細かい描写により、見逃してしまいそうな相手の小さな変化に、気づくことが出来る。アクションをしないだけで、相手の話をちゃんと聞いているのだ。
主人公に関しては、とても素直な感情が伝わってくる。分かり辛いように思えるが、確実に二人の心の距離は、空港で初めて会ったときより近づいているのだ。今はまだ(エピソード5あたりでは)、観光客の目的が明かされていない。この物語には、笑いの部分も多い。その理由は、主人公が理不尽に振り回されているからなのか、この組み合わせのせいなのか。
だが、笑いに至った根本的な原因は、バイトを紹介した人物にあると言っても過言ではない。(エピソード5までの印象です)
【物語の見どころ】
まず、主人公がとても魅力的であること。そして周りにいる人物に、それぞれ個性があるところが魅力的。
始まりは暗い雰囲気で始まる。その事については、いづれ詳しく分かる時が来ると思う。主人公が面倒を見ることになった観光客は、どうやら訳ありだ。何らかの目的を持ち、それを遂行するためなのだが、主人公は”そんな話は聞いていない”という事態に巻き込まれていく。先が読めないからこその魅力や好奇心を誘うのだ。
そしてあらすじにある通り、”平凡な元サラリーマンと孤独な異国の暗殺者の絆と成長の物語”である。不愛想でコミュニケーションが取れているかどうか、序盤では分かり辛い二人が、いかにして絆を築いていくのか。
そこが最大の見どころなのではないだろうか?
あなたも是非お手に取られてみませんか?
魅力的な彼らの物語。この先一体何か待ち受けているのか⁈
お奨めです。
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Twitter特殊イベントでレビューを書かせていただきました
(タイトル・あらすじ・書き出し一行のみでレビューより転載)
書き出し一行はこちら
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気持ちの良い午後の日差しが新緑の木々の隙間から差し込んで、きらきらと揺れている。
(引用)
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まずこの作品を紐解くには、タイトルの”東方伝奇”これが重要な鍵なのではないかと考えた。何を指しているのかを考えるのには、一番しっくりくる”答え”を探すのが近道である。ここで見極めなければならないのが”東方”。東日本を指しているのか、アジア諸国を指しているのかで、この物語の規模が変わってしまうからだ。どちらが正解か、もし東の方角を指しているとするならば、このタイトルは”東京伝奇”となると思う。なんだかその方がしっくりくる。となると、この物語の東方はアジア諸国を指しているのではないかと推理する。
では伝奇について。意味を調べるとさまざまな資料が出てきた。ここには一部しか載せていないが、調べてみた先で、一番ぴったりなのが、補足3。何故、そう思うのかと言えば、サブタイトルの部分に注目するとその答えが見えてくる。
この物語は平凡な元リーマンと異国のツンデレ暗殺者が一緒に居るわけだ。どう考えても”世にも珍しい話”。つまり、この作品のタイトルは”アジア諸国を舞台とした世にも珍しい話”や”アジア諸国に起きた世にも珍しい話”こういう意味合いなのではないかと、思われる。その内容が”平凡な元リーマンが異国のツンデレ暗殺者と紡ぐ絆の物語”である。
さて、次にあらすじを見て見ると、ん?
聡明なあなたなら、ここまでで立てた推論がオカシイと気づくはずである。あらすじには、”観光にやってくる1人の外国人のガイドをすること”と書かれているからだ。恐らく日本にやってくるのだろうが、ガイドをするとは書かれているものの、国内限定なのか国外も含めるのかは書かれていない。すると、読み手はどちらか分からなくなる。これが”情報の制限”による攪乱というものである。
これによりなにが起きるのかと言えば、”読まないことには正解が分からない”。読み手は正解を知りたくなり”手に取る”のだ。私自身も、これは関東を股にかけた話なのか、アジア諸国という広範囲なのか知りたい欲で、うずうずしている。
このあらすじには、さりげなく謎が多い。”元同僚”が一体何者なんだという疑問や、ハードボイルドとほのぼの日常を組み合わせる奇抜さ、どんな内容なのか全く予想はつかないが、とても面白そうである。
書き出し一行を見て見ると、”日差しが新緑の木々の隙間から差し込んで”この文を見ると、自分は五月ごろをイメージする。明確に何月とは書かず、情景でイメージを沸かせることに、とてもセンスを感じる。この一文には、状態、景色、色、風など体に感じるもの、光。つまり五感を刺激する要素がたくさん詰まっているのだ。書き出しの一行に、これだけの表現を詰めることが出来るというのは、単に上手いだけではなく人の心を動かすような表現、言葉選び、作風を持ち合わせているということを示している。それをギャグドラマで惜しまず出すという。これは面白いだけの物語ではないという事だ。
さあ、あなたも彼らの日常を覗いてみませんか?
ここには、あなたが見たこともない世界が広がっているに違いない。
P10 のみでレビュー
【書き出し五文字】
伊織は2人
【P10の簡単な内容説明】
文化の違い、知識の違い(意識)
【P10について】
人とは潜入観の塊であるという事を早々に学ぶ。ここで思ったことは、価値観の違いと文化の違い。国によって、戦争に対する受け止め方もまた違うということ。日本には自衛隊はあるものの、徴収制度などはない。日常の中で、戦争について考える機会は少ないと思われる。主人公は、彼の買い物について行くこととなるのだが、その中で価値観の違いに気づくこととなる。少ない会話の中で、二人の性格の違いなどが垣間見える。無駄のないストーリー展開が凄い。料理の話からのくだりが特に印象深い。必然性というのは、こういうことを言うに違いない。その後、彼に言われた一言への主人公の反応がとても印象的である。
【これまでどんな内容だったのかを予想】
あらすじにあるように、広告代理店を自主退職した主人公。まずは退職の理由や奇妙なバイトを請け負うことになった経緯などが、描かれているのではなないだろうか?P10では洗濯をしていることから、同居の可能性が高いので、そうなった経緯についても描かれているに違いない。言葉は少ないものの、二人は仲が良さそうにも見える。これまでどんなことがあったのか、とても気になる作品だ。
【この物語の先の展開を妄想】
この時点では、まだツンデレ暗殺者の目的が語られていない可能性もある。仮に知ったとして、主人公はどんな反応をするのだろうか?この物語のポイントは”絆の物語”という部分にあると思う。P10の印象では主人公は、とても真面目な好青年(青年の年齢がいくつからいくつを指すのかは分からないが)。何らかの理由により、暗殺者の彼の事情に巻き込まれていくのではないかと思う。その結末がどんなものであるのか?是非、あなたもお手に取られてみませんか?
暗殺とかヤクザとか中国とか、うわ~どこの映画なの?映画ならいいけど文章で読めるかしら…と読み始めたらあら不思議、主人公の伊織くんと一緒にサクサク読めてしまうではありませんか!ふだん読まないジャンルだな、とか、ハードボイルドはあまり、と思っている人も、全然、読んでください!!と全力でおすすめします。
そして、「読める」から「面白い!」まで、ほとんど間がありません!!
そしてそして、「面白い!」から「萌える!ハマる!どうなるの~~!?」までも、大した距離じゃありません(笑)
読み始めから中盤まで、丁寧に階段だったり緩めのスロープが用意されているので、ちゃーんと物語に置いていかれず、至れり尽くせり♪ そして美味しそうなご飯の数々…じゅるり。後半は手に汗握るバトルで、でも心強い仲間たちがいるから安心して読めます。
キャラも物語もクオリティが高いので、本当に、贅沢な時間を過ごさせていただきました。ありがとうございますっ!!!