奇魂-007 当会の多様性

 奇魂-007は、シャルロットという吸血鬼の少女です。18世紀のフランスに生まれ、革命のなか9歳で不老の吸血鬼となりました。


 ヴァンパイアを〝定期的な輸血が必要な人類〟と定義し、人との共存を目指す同族を率いて潜伏しており、対象らが殺人を犯した記録はありません。作家シェリダン・レ・ファニュと遭遇し、『カーミラ』のモデルにもなっています。


 当会との対話にて、通常社会も多様性を重視し始めているとの指摘には、同意で血を提供することで対象らと共存するパートナーと呼称される人間のうち、自身の相手は少女愛者として人の社会から排除されてきたと失笑で返しています。


 奇魂-007は獲物の抵抗を減らす魅了の能力が現実を誤認させるほどに発達しており、急死した神代にかわり評議会へも侵入。何らかの情報にアクセス後逃亡しました。当会を去る際以下の言葉を残しています。


「神代に在任して、吸血鬼も人という認識はより強くなったわ」


【警告。この記録は改訂予定です。

 閲覧者には記憶処置が施されますので、そのままお待ち下さい。】



【追跡調査記録】

 奇魂-007により現実を誤認させられた可能性があるため不確実であるが、彼女が滞在しデータバンクにアクセスする前のバックアップと比較した所、以下の情報との差異が見られた。


 ・奇霊クラス御霊『カインの失われた支族』に関する情報。

 ・奇魂-007率いる御霊集団『シャルロットの血族』に関する情報。

 ・公開中、及び非公開の神代に関する情報。


【警告。この記録は改訂予定です。

 閲覧者には記憶処置が施されますので、そのままお待ち下さい。】

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

日出国御霊会会 碧美安紗奈 @aoasa

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画