コンクール
それからというものの女子の仕草や話し方を徹底的に教え込まれた。そのせいか自然と女子らしい仕草や話し方が出てくるようになった。そして明日が遂にコンクール本番だ。今まで頑張ってきたことをすべて出し尽くしたい。それにコンクールを過ぎればこの女子みたいな容姿ともおさらばだ。明日がとても楽しみだがひとまず寝ることにした。
あぁ、まだ眠いがコンクールだから起きるとしよう。ふと時計を見ると時刻は6:24を指していた。そこまで時間がない。急いで準備しないと。......そうだ、女子の制服を着るんだ...。確かに部活の中で着ることはあったが外に女子の制服でいったことはなかった。(一回あるけどw)コンクールの会場は隣の町だ。なので、部員でまとまってバスで現地に向かう。「やけくそだ」と思い女子の制服を着る。朝食を取り楽器を準備し気が付けば7:05分だ。待ち合わせの時間は7;30だ。急がないとゆっくり歩いては間に合わない。
何とか待ち合わせには間に合ったようだ。しかし他の部員はもうすでに全員集まっていた。
「ナツキ、ちょっと遅くない?」
「あ、ごめん。」
「いいのよ。間に合ったんだし。」
「ナツキ、ちゃんと女子に見えるよ。」
「ありがと....。」
「あっ、バスが来たみたい」
週末だったし人はそこまで多くなかった。
「ねぇ、お嬢ちゃんどこの学校?」
聞いてきたのは隣に座っていた年寄りのおばあちゃんだった。
「え、私に聞いてます?」
「もちろんよ。どこか行くのかい?」
「吹奏楽部のコンクールで。」
「うん。そうかい。かわいらしくていいね。」
あぁ。やっぱり女子に間違えれたのか。てか、男子だと思うほうがおかしいんだろうな。でも、こんな生活ももうすぐ終わり。
コンクール会場に着いた。みんな緊張してるようだ。まぁ僕も緊張しているんだけど。
「次は........。」
アナウンスが流れた。僕たちの番だ。舞台に上がる。僕らを照らす照明はとてもまぶしく暑い。僕はそれからというものの緊張で震える手をなんとか動かし演奏した。一回、クラリネットの有村がミスをした。あの彼女でもさすがに緊張するのか。でも、とにかく大きな失敗なく終われて一安心だ。
あと遂にこれで.........
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