ヘアカット
七月下旬。僕の髪は凄く伸びた。一か月で1.5センチ以上伸びてるのは間違いない。きっとあのシャンプーのせいだ。具体的にどのくらい伸びたかというと前髪が口の高さくらいに横髪が鎖骨下3センチ後ろ髪が背中くらいにまで伸びていた。同級生の男子に
「なんで髪伸ばしてんの?」
って聞かれるたびに僕は
「髪切る時間ないんだよね。」
と答え有村とのことは絶対に言わなかった。髪を伸ばしてることに母は元々女の子が欲しかったので結構積極的だった。しかし当の本人有村美紀は何にも言っては来なかった。
しかし、夏休み真っ盛り8月2日の部活で有村美紀が話しかけてきた
「本当に切んなかったんだね」
「うん。まぁ」
「じゃあ今から切ろうか」
「えっ」
今ここで髪を切るのか!えっ誰が?えっ?
「何」
「いや。何でもないです」
夏で今暑いし早くさっぱりしたい。
「えっ、で誰が髪切るんですか?」
「私です」
名乗り出たのは浜辺美波だった。弟の髪切ったりすることもあるらしい。彼女ははさみを持って近づいてきた
「眉毛とかまつ毛とか切んないようにこれ付けといて」
渡されたのは目隠しだった。やっぱ相手は中学生だし心配だったから良かった。そして僕はさっそく目隠しを付けた。まず浜辺は僕の髪に霧吹きをかけブラシで梳いてくれた。気持ちいぃ。そしてまず前髪をもたれザクッという音とともに切られると前髪がとても軽くなった。そして横髪も後ろ髪もザクッという音とともに切られていくのが分かった。そして、髪を梳いてもらい
「終わったよ」
僕はいそいで目隠しを外した。そしたら、その瞬間肩からシャッという音がした。もしかしてと思い慌てて音楽室の姿見に向かった。そこに映ったのは女子。いや
僕だ.......
前髪は眉毛でぱっつん横髪後ろ髪ともに鎖骨くらいで切りそろえられている。僕の顔が童顔ということもあり女子にしか見えなかった。でもぱっつん前髪に長い髪。女子の髪型だ....。すると皆から
「可愛い」
「女子にしか見えない」
「ナツキ本当は女の子だったんじゃない?w」
とか言われた。そして有村美紀に
「絶対髪切んないで」
と念を押された。
家に帰ると母が可愛くなったねと言ってきたそれからというものの母は僕のことを
ナツキちゃん
と呼ぶようになった
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