【KAC2O2O5】どんでん返し。
牧野 麻也
【KAC2O2O5】どんでん返し。
「お題が『どんでん返し』だとォ?!」
KAC2O2O5のお題が発表になってすぐ、私は憤った。
だってさ、だってさ!
第一回目が『四年に一度』
これは、カクヨムさんの真の誕生日に引っ掛けてるから、まぁヨシとしよう。小説のネタとしても面白い。
どんな『四年に一度』になるのか。2/29や閏年、オリンピックに引っ掛けた作品は多数あったが、中には一捻りもふた捻りもされた作品があって、それを探すのは大層楽しかった。
第二回目が『最高の祭り』
まぁ、このKAC自体がお祭りだ。
それを最高のものにしたいというカクヨムさんの気持ちもとてもよく分かる。
なので、様々な祭りの物語が展開された。
中には胸熱になるような作品もあって唸らされた。
第三回目が『Uターン』
これはちょっとどうかと思ったが。
多分、5回あるお題の3回目だから、『これが折り返し』という意味だろう。
初回KACの二番目のお題『二番目』と同じぐらい『まんまやないかい!』という声が思わず出たのは仕方ない。
文字通り田舎へ出戻る主人公などの作品が沢山出てきた。
中には猫が壁を蹴ってUターンとかもあったが、間違ってない。うん。間違ってない。
第四回目が『拡散する種』
は?
思わず、そう声が漏れた。
意味が分からないよ。どういう作品を期待してるのか分からないよカクヨムさん。
多分、このKAC祭りを拡散して欲しいんだろう?
そうだろう?
そんな下心が隠れてねぇぞ!!
ただし。
これは様々なタイプの作品が出てきて読む分には面白かった。不幸の手紙系や都市伝説系の他、『種』を『しゅ』と読んで生物としての拡散を描いた作品もあった。
みんな良く考えるなぁ。
凄い。
そして五回目。
果たしてどんなお題が来るのか。
前回のKACでは、誰も予想できなかった『カタリorバーグ、ついでにトリ』と出してきたぐらいだ。
とんでもないお題が来るはずだ。
そう、身構えていたのに。
身構えていたのにっ!!
「どんでん返しってどういう事だよ!
それって小説の基本中の基本じゃないのかよっ!!
そんなの、既存の私の作品どれでもいいから読めや! ほとんどにどんでん返し入ってるがなっ!!」
私は荒れに荒れた。
日々の忙しさの合間を塗って、ちょっと長い喫煙時間をとってコツコツネタを考えたりしてたのに。
他の人とネタ被りしないかどうかドキドキしながら、検索して読み耽ったりして勉強したのに!
PCで仕様書のワードの裏にカクヨムのページを隠して素早く切り替えつつ、チラチラちらちら逐次状況を確認してたのにっ!!
してたのにッ!!!
捻りもへったくれもないお題じゃないかっ!!!
逆に考えつかんわ!!
くっそぅ!!
どうすりゃいいんだ。
『どんでん返し』なんて改めて考えろと言われても思い付かないよ。
『どんでん返し』は小説の構成であってテーマじゃないって感覚なんだもん。
無理だよ。
他のお題ついでにくれよ!
前回の『トリ』みたいにさっ!!
ダメだ。
アレコレ考えても、他の素晴らしい『どんでん返し』の作品には敵わない。
私の低ーいスペックの脳味噌じゃあ、36時間でお題をこなすなんてどだい無理な話だったんだよ……
……いや。
まだだ。
諦めるのは早い。
そうだよ。
私には『エッセイ』という強力な武器があるじゃないか。
物語は作れなくても、エッセイ書けばいいんじゃん!
そうだよエッセイ!!
エッセイでどうやって『どんでん返し』するんだよ馬鹿ッ!
どんでん返しってのは、叙述トリック使ったり、ワザと読者をミスリードして『実はこうだったんですー。へへーん』てやるもんだろ?!
エッセイで脳内そのまま垂れ流してるだけなのに、何処にトリック仕込めるんだよ!
余地もねぇわ!!
……もう、ダメなのか。
私には、書けないのか。
KAC祭り。
最後まで参加したかったのに、出来なかった……
もう、いっか。
これで。
だってさ。
別にさ。
テーマが表現できてなくてもさ。
文中に『どんでん返し』って沢山入ってるからさ。
もう、いい、よね??
これで、いいよね?
許して……くれるよね……?
ね?
よし。
これが私のお題5番目の作品だ!
規定文字数も超えたし締め切りにも間に合った!!
なんとかなったぞ!
KAC、お疲れ様でしたー!!!
了
※気づいた?
この作品、KAC20205に参加してないんだ。
だってタグ、KAC2O2O5だもん。
けーえーしーにーおーにーおーご。
だよ。
ついでに言うとフィクションだからねっ!!
【KAC2O2O5】どんでん返し。 牧野 麻也 @kayazou
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます