影をかぶらなくてよくなる日

死ぬために生きていた日々、人々は皆、影をかぶっていた。少年もまたそうであった。それが当たり前であるかのように「死」は皆の身近にあった。死ぬまでの人生がいきているということだった。
が、ある日、突然、皆が影をかぶらなくて良い日がくる。皆が一人また一人と影を脱ぐ中、少年は躊躇った……。

月日は流れ、そのときの少年のノートを読む孫の姿。笑い飛ばす孫を見て、どう感じただろう?
かつての「影の少年」は、こんな未来を予測し得ただろうか。

皆の心の中には、本人たちも未知の「影」を持っているかもしれないと思う。

考えさせられるお話だった。

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