標準的な注意事項。いささか標準的でない試験問題。解答用紙に記された、解答者たちの声を見たとき、「試 / 験 (ため)」されていた事柄がなんなのか、正解がなんなのかが明らかに……。なんとも怖ろしい試験です。
七倉イルカさんはどの作品を見ても文面が美しいんです。言葉の選び方、かなの開き方、そこから明確に伝わってくる景色や空気の匂い……。どの作品でもいいから1話、開いてみてください。その文字の並びだけで「あっ、プロの作品だ……」ってオーラが放たれてますから。さて、そんな天才がホラーを書きました。書いてしまいました。そう、書いてしまった、のです。あなたはこれを読まなければいけません。文章の天才の書いたホラー小説を……。圧倒的な才能に震え……ロ……。正解。
試験の緊張感を味わいました。果たして合格はあるのでしょうか。試験内容がだんだん不穏になっていくさまが妙味です。ちゃんと解答もあります。ぜひ挑戦してみてください。
殺風景で、形式的な文言に始まる本作。合計数わずか3話のその3話目に、言いようのない寒気に襲われました。これは、答え合わせの幕引きです。さあ、用紙をめくりましょう。解けてはいけない問いというものが、この世のどこかで出題されているのかもしれません。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(289文字)
少ない文字数の中で、ジワジワと、迫りくる恐怖が独特な手段で表現されていく。そして、そこにあった事実。けれど個人的には、こういうの、あっていいと思う。恐怖の共有。まあ、共有した時には遅いけど。