第9話 部屋
俺はウサギだ。彼女に愛されるべき可愛いペットのウサギだ。
自分で言っておいて何だけれど、恥ずかしいな、これ。
まぁ、それはさておき、そんな俺は今、彼女の部屋にいる。普段はリビングにいるんだけれど、たまにこうして彼女は自分の部屋に俺を連れてきてくれる。
初めて来たときは緊張して、じっとしてしまったけれども。でも、今はもう慣れてこの部屋でも俺は自由に動き回れる。
けれど、1つ、この部屋にいると問題もあるんだ。いや、違う。彼女のとある行動が問題なんだ。
だって、彼女はベッドで横になって俺を愛でるんだ。
ベッドなんて1つしかない。つまり、ここは彼女が毎晩寝ているところなんだ。
そんな場所でリラックスして俺を愛でる彼女。
もし、俺が悪い男だったりしたら、そのまま襲われちゃうよ?だから、こんなことはしちゃいけないんだ!
だなんて思ってはみても、俺は所詮、彼女のペットのウサギで、人間じゃないんだよな。それに、人間にはこんなことしないんだよね。だから、大丈夫なんだけれど……。
でも、もし、ここに他の男が、だなんて考えてしまうと、嫉妬で狂ってしまいそうになってしまって……。それなのに、ここに来る度に匂いを確認して、他の男の気配がないかを確認してしまって……。
あ、変な意味じゃない。俺は匂いフェチじゃないから、彼女の匂いで興奮するとかないし。
でも、彼女のいい香りに包まれて、撫でられていると、気持ちよくて、まるで天国にいる気分になる。
じゃぁ、目の前にいる彼女はきっと、天使様、だよね。
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