第3話 謝罪
俺は今、彼女に抱き抱えられている。今までも何度もあった事だ。
彼女は俺を溺愛してくれていて、それでそれでこんな風に抱き締めてくれているんだ。言葉だけを見ると、すごい幸せなんだけれども、俺はウサギ、なんだよな……。
例え、俺がウサギで、単なるペットとしてでもこうして愛されていることはすごい幸せだ。でも、違うんだ。本当は彼女はこんなことをしてはいけないんだ。
だって、こんな風にされてしまうと、俺の全身が彼女の柔らかい胸に触れて、しまうんだから!
世の男達は役得だ、そう思うかもしれないけれど、俺はそうは思わない。むしろ、申し訳ない気持ちにしかならない。
だって、俺は姿はウサギでも、心は人間なんだから。そして、彼女に振られているんだから。
そんな俺が彼女の胸に包まれて、その柔らかさや温もりを感じていいわけがないんだ!やっぱり、ほら、そう言うのはお互いの気持ちが通じ合ってからだと俺は思うんだよね。
だから、俺は最初に抱き締められたときに思わず逃げ出してしまった。そうしたら、彼女は悲しそうな表情をしてしまったから、だから、俺はその後はなされるがままにしてしまっている。彼女を笑顔にするために。
そう、これは決して、やましい気持ちなんかじゃないんだ。彼女を笑顔にしたい、って純粋な気持ちからなんだ。
……すみません、白状します。たまに両手で、ウサギだから前足か、彼女の胸をついプニプニしちゃっています。下心からです。だって、柔らかくて気持ちいいし、彼女も嫌がらないからつい……。
あぁ、これ、彼女に知られたら絶対に軽蔑されるよな。完全に嫌われるよな……。
ウサギだからって本能のままに行動するのは控えよう。
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