フランス・ギャルはたった一人、地を見る

フランス・ギャルといえば60年代に流行ったフランスの歌手だ。彼女自身、その頃のプロデューサーがロリコンでMVに男性器を模したキャンディを出したり、それを本人に舐めさせたりしてあまり彼女にとって良い時期ではなかったそうだ。
だが、そんなフランス・ギャルを言語も人種も違う国のファンが愛し、挙げ句の果てには自身の体に憑依させたいと願う。音楽ファンの業は深いものだ。
日本のイタコという文化にフランスの音楽を融合したイベントというのも面白い。
もうこの世にはいない幽霊を自身の体に憑依させる。そもそもフランスはキリスト教で、霊となった彼女は天の門の前で裁きを待っているかもしれない。
それでも死者への憧れは尽きない。現実でも、AIに手塚治虫の漫画を描かせる企画があるし、偉人への憧れは形を変えて時代を下っても続いていくものなのかもしれない。
そのことをよく教えてくれる作品だった。