コンドラティエフの憂鬱

 中世風の世界観に現代式の経済概念を巧みに融合させた本作、生贄なる中世そのものの概念が切り払われていく筆致はいたく秀抜である。
 しかし、本作の真の良さは、主人公のお陰で少しずつ開眼していく(で、あろう)この世界が、旧弊な習慣や施設をどう改善していくのか読者に自由に想像せしめる点にあろう。
 必読本作。