第4拳【白き花をその身に咲かせよう】

五メートルの長身にプラスされた棍降君コーンフレークを天高く掲げた。


そして、力任せの一撃……否、周囲に砂塵の嵐を巻き起こすほどの力を見せつける。


「こ、こ、これがたらよぉ、お、おめぇもお仕舞じまいいよぉ!! らえらえらえらえぇぇええ!!!」


狂喜乱舞する玉蜀黍を止められる者はいないと……。


誰もが確信した。

この鋼鉄の城から逃れる術は無いのだと。


誰もが絶望した。

この世の理不尽は産まれた時点で決まっているのだと。


空を見上げ願う――誰もが諦めかけていたその時に、希望という星は降り注ぐのだと!!


答えは砂煙が晴れた時に気がつく。


男の周囲の地面は平たい皿状になっているにも関わらず、立つ地だけは何ら無傷だった。


「なぁ、おい。お前の情熱パッションとやらはこれでしまいか? 俺がもっとたぎらしてやるよ!」


余分な混じり気のない殺気コロッケは、巨体や力で勝る玉蜀黍を大きく後退させた。


そして、誰かが言った。

否――今の今まで気が付かなかったのが不思議なくらいだ。


「あの人はまさかっ……天より恵まれた英養素を持ちながらも、上層部に反旗はんきひるがえした〝五四こし暗拳あんぱん〟の使い手〝ブレット〟だ!!」


名を呼ばれたブレットは微笑む。

複雑に組まれた手を広げ波動拳の構えをとった――そして、気を溜めて放つ瞬間に高速回転の捻じれを入れた。


 「〝発攻はっこう3斤さんきん-超拳殺熱チョココロネ〟!!」


オデ肉体カラダマエでは、おメェ拳等ケンナド……ンダッ?、ガラダアチいぞ!!?」


ブレットの両拳ダブパンから放たれた、超圧縮された熱波は玉蜀黍の巨体を包み込む。


しかし、流石はEブロックの工場長物凄いタフネスで耐え凌ぐこと数分後。


揺れる体に呼応して少しずつ膨れ上がるのが分かる。


「オロッ?オロッオロッ!?何だか……視線が高くなった気がしできだ――」


【バアァァァァァァァン゙!!】


だが、相性が悪かったようだ。

肉片が粒状に飛び散り白い綿のように散っていった。


出来立ては美味しそうに見えたのか、一口頬張るが直ぐに吐き出す。


「おぉ中々活かすじゃないか。人生の最後に盛大な弾け方なんて羨ましい限りだぜ……ぺっ、ただしとても食えた物じゃないがなっ!?」


E・ブロック工場長〝暴君の玉蜀黍トウモロコシ〟戦――決着!!


食の未来を救うため、〝ブレット〟は再び歩み出した。


たとえ、この先が修羅の道であろうとも。

誰もが平等で腹一杯に食える世界を目指すために……


開放され囚われた者や兵隊たちは自分達の故郷へと帰った。


その後のEブロック跡地にて。


【ガーガーガーッ――ピッ・ピッ・ピッ】


『こちら指令本部……Eブロック工場長、玉蜀黍トウモロコシ殿、先ほど緊急連絡がありました通り……直ちに暗殺部隊〝紺兵十こんぺいとう〟を派遣致します……では、御武運を』


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泥んこなりに激熱なバトル物を書きたいと思ったらこうなった~ 泥んことかげ @doronkotokage

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