面白すぎる競技タイピングの世界
最近、タイピング大会の配信アーカイブを見た。高級キーボードで人気のあるRealforce主催の大会。RTC 2023。
前々から、競技タイピングの存在は知っていたし、RTCの存在も知ってはいた。だけど、見たことはなかった。タイピングの大会なんて、見たところで地味で面白くないだろうと思っていたからだ。
ただ、実際見てみると印象はがらりと変わった。ほかのe-sports同様に、駆け引きがありドラマがあり非常に面白いのだ。
僕が見た大会には、色々な人が出ていた。本職はエンジニアな人だったり、テレビの字幕を付ける人だったり。驚いたのは、女子中学生選手の存在。確かに、タイピングには年齢も性別も関係がないように思う。
それでも、出てきた瞬間に「中学生!?」と驚いた。ほかのタイピングコンクールでも良い結果を残し、内閣総理大臣賞を受賞したとのことだ。大活躍じゃないか。なんか、男女問わず自分よりも若い子が頑張ってると応援したくなるよね。
この大会の面白いところは、ルールにある。
RTCは対戦型タイピングゲーム「Weather Typing」を使って、1対1の試合を行う。出てきたワードをどちらかが打ち切ったら、次のワードに移る。10ワードをどちらかが先に打ち終えると、ラウンドは終了。
取得ポイントが大きい方が、ラウンドを制するというルールだ。取得ポイントは打った文字数などによって変わるため、基本的には10ワードを先に取った方がラウンドを制することになる。
ただ、これだけだと「正確さを捨てて速く打つ」ことに終始してしまう。タイピングとは本来実用的なものであり、正確性と速度とを両立したほうが美しい。
そこでRTCには、「正確性95%ルール」というものがある。これは、先に10ワード先取しても、自分の正確性が95%を下回っていて、相手が95%以上の正確性を保っている場合は自分の負けになるというルールだ。
これによって、駆け引きが生まれるのが非常に面白い。
正確性とKPM(速さ)は、常に画面に表示される。どちらかがワードを最初から取りまくっていると、相手は「正確性を捨てて速度を上げる」か「何ワードかは相手に取らせて慎重に打って正確性を取るか」の二択を迫られる。
ここで正確性を上げてこられると、先にワードを取ってる方からすれば恐ろしい。自分も正確性を上げなければ、先にワードを取っても負けてしまう可能性がある。
だが、相手の正確性が95%以上になるかはわからない。正確性を上げる隙を与えずに、どんどんワードを取ってラウンドを終わらせるという手もある。
タイピングの試合というのは、かなり一瞬だ。
一瞬で1ワードが終わるし、次のワードがまたすぐ出てくる。本当に、1ラウンドあたりの時間はすごく短い。その中でこの駆け引きをしているのだから、面白くないわけがない。
リアルタイムで表示されるタイピングの映像、手元の映像、正確性とkpmを見ながら視聴者は今選手がどのような駆け引きをしているのかがわかる。実況解説もちゃんといるから、よりわかりやすいし盛り上がる。
僕は、1試合あたりの時間が長いe-sportsやスポーツはあまり好まない。何時間もかじりついていないといけないからだ。野球とかサッカーとかね。
ただ、タイピングは試合時間自体は短い。僕が見た大会のアーカイブは3時間くらいあるけども、仕事して1試合を休憩中に見て、また仕事をして…という楽しみ方もできる。もちろん、リアルタイムで見るなら結構な時間かじりつくことになるけどね。
それでも、試合数が多いから飽きがこない。
僕にとっては、すごく魅力的なe-sportsだった。
どうして、存在を知りながらもっと早く見なかったのか。今、僕は競技タイピングに対してすごく興味がわいている。
僕自身もタイピングは比較的速い方だけど、大会出場者に比べれば全然ダメだ。
高校生の頃、タイピングテストがあって、順位が張り出されたのを思い出す。僕は毎回ぶっちぎりの1位で、それが誇らしかった。2位の同級生がすごくやる気を出しているから、しっかり練習をしていたのも覚えている。
その時の記憶が思い出され、僕もまた少しタイピングをやってみようかと思うようになった。
まあ、毎日仕事でやってはいるんだけども。ライターのタイピングは「思考しながらのタイピング」だから、また微妙に違うと思うんだよね。
「酔ってます?」二杯目と共に……。 鴻上ヒロ @asamesikaijumedamayaki
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