暴言少女メロぴょん
兵士「陛下」
女王「何じゃ?」
兵士「不審な女が城に闖入いたしまして、ただ今捕らえました! ユザワヤの買い物袋を所持しておりまして、陛下のお命を狙ったようでございますが……そのー」
女王「何じゃ。申してみよ」
兵士「陛下に会わせろと申しております。いかがいたしましょう? 」
女王「牢に入れて明日辺りに公開処刑すればよかろう。いちいち会っていては身が持たぬ」
兵士「あっ!!! あいつ勝手に入ってきやがった!!……陛下! こやつです!」
女王「うわ、ださっ……」
兵士「はっ! どう見てもこやつのファッションはパリコレのコロッケ服以下であります!」
女王「いやな感じでにやついているし……なんなのこいつ」
メロぴょん「ねえそこのおばちゃん! おばちゃんが女王?」
女王「ああ、わたくしが女王である」
メロぴょん「なんだ大したことないじゃん」
女王「はい?」
メロぴょん「ファッションバトルクイーンって聞いてたのに、ブランドで固めりゃ間違いないって勘違いしてるおばちゃんじゃん。がっかり」
女王「は?」
メロぴょん「TGCとかみないっしょ、おばちゃん」
女王「卵かけご飯なら今朝も食べたが」
兵士「(小声で)陛下、それはTKGでございます」
メロぴょん「おばちゃんはそういうの見ないよね、無茶ぶりでしたーめんごめんご」
兵士「おばちゃん言うな! 不敬であるぞ!」
メロぴょん「ケミカルウォッシュの裾三つ折りジーンズとGジャン着てる男にいわれても全然響かないんですけどぉ。つか、そういうの、現存したんだ、超ウケる」
兵士「これが制服なのだから仕方ないではないか! 着とうて着とるわけではないわ!!」
メロぴょん「(純真そうに)誰がそのくそダサい制服に制定したん?」
兵士「それは……女王陛下が『一周回ってこれがマブい』とおっしゃってお決めになった。我々は、……ちょっと違うんじゃないかって気もしたんだが……」
メロぴょん「(爆笑して)ウケる。おじさん、かっわいそー」
女王「うぬぬ、言わせておけばぺらぺらと……そういうそちこそ鏡を見たことがあるのか? かなりひどいぞ」
メロぴょん「おばちゃんのセンスで判断されても困りますぅ」
兵士「(素で)俺TGC見てるけど、やっぱりお前のはひどい。幼稚園児の工作レベル」
女王「40年前のソーエンヌ賞応募作品くらいひどいぞ」
メロぴょん「そんな昔の話されてもわかんない。そんなん知ってるの
女王「ユザワヤの常連ということはソーエンヌのバックナンバーも熟読しておるかと思うたが」
メロぴょん「40年前って、古いにもほどがあるじゃん。おばちゃん通り越してBBAかよ」
兵士「BBA言うな! BAN喰らいたいのか!」
女王「とりあえず、静まれ。そち……名は何という」
メロぴょん「(なめ切ったテヘペロ感で)メロぴょんでぇす」
女王「TPO的にはそちの服装はダメダメである。とりあえず処刑である」
SE:スマホで連写する音
メロぴょん「何撮ってんの」
女王「これ、プチ処刑用にインスタに上げとく」
メロぴょん「ちょっと待ってよ。おばちゃんのフォロワーっておばちゃんのテイストしか理解できないくそダサい奴らじゃん。絶対袋叩きで拡散するっしょ。ばりばり不公平じゃね?」
女王「では公平を期して、そちの単独出演ファッションショーをやろうではないか。老若男女エントランスフリーで、三面ワイドスクリーン、場外モニターでのビューイングも可能にして」
兵士「あ、見事な公開処刑っすね」
メロぴょん「え、でも支度とか時間かかるし!」
女王「このわたくしをさんざんコケにして、今更しり込みというわけか」
メロぴょん「……三日! 三日ちょーだいよ!」
女王「逃げるのか小娘」
メロぴょん「逃げねーし! だったら親友のセリっちを人質にしてやってもいいし!」
女王「セリっち?」
メロぴょん「セリっちは、うちが何着てても、笑いながらファッションセンス最高っていつも言ってくれるし!」
兵士「それは……そいつがセンス悪いか、
女王「わかった。その条件を飲もう。三日与えるからセリっちとやらを人質として差し出せ」
SE:スマホの通話音
メロぴょん「(その場にいる人間を完全無視してスマホで通話をはじめて)……あーセリっち? おっはよー! ちょっと話があんだけど、今から王宮来ねえ?」
――終劇。
エキセントリック会話劇集、童話仕立て【フリー台本】 江山菰 @ladyfrankincense
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。エキセントリック会話劇集、童話仕立て【フリー台本】の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます