第1話 出会い

 「優季ちゃん、また会おうね。バイバイ」

桜の木の下で自分へのメッセージが書かれた文字をなぞる、まだ綺麗なセーラー服を着たユキ。どこか不安な瞳の奥には希望に満ち溢れている。

「どうして?優季だけひとりぼっちなの?」

風が桜の花びらを揺らして優季にこう答えた。

『これからたくさんお友達が出来るからね』

だけど優季には聞こえるはずはなく、優季の瞳から涙が溢れた。

桜は花びらを優季の肩にそっと落とした。


 優季は自分へのメッセージを握りしめ、まだ慣れない坂道を歩いていた。

「危なーーーい」

ドンッ

「あ!ごめん!」

「・・・痛っ」

誰かがぶつかってくる衝撃があって、地面に尻餅をついてしまった。

「大丈夫?本当にごめんなさい!」

顔を上げるとそこにはメガネ姿の短髪の男子。

「あ、いや・・・ごめんなさい、私の方こそ」

「ごめん、俺が前見てなくて!ほら!」

そう言って彼は左手を差し出した。

「え、ありがとう」

優季が右手で彼の手を掴むと彼はユキを軽く引っ張りあげた。

「怪我してない?」

「はい、大丈夫です。」

「ちょっと、匠!危ないって言ったでしょ?」

同じセーラー服を着た女の子が走ってきた。

「わりぃわりぃ!!」

「ごめんなさい!大丈夫だった?あれ?あんまり見ない顔ね。どこの中学の子?」

「いや・・・あの、」

「こら!美紅、そんなに攻めなくても」

「え?だって見ない顔だったから」

「私、、、篠塚優季 (ソノヅカ ユキ)です。違う町から来たので、、、」

「そっか、俺は鮎川匠(アユカワタクミ)」

「あたしは、佐々木美紅(ササキミク)よろしくね!」

「よろしく・・・お願いします。」


優季は小さく微笑んだ。




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桜の空の下で。 @otoha15ri

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