突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが？

R 枕

　枕。睡眠をとる際に頭を支えるのに使用する寝具だ。

　人生の三分の一を乗せる寝具であり、人によって非常に好みの分かれるものであるため、様々な種類が存在している。

　そして、理想の枕というものは様々な学説が存在している。柔らかさ、高さ、形状。

　人によって頭の大きさも重さも異なるために、絶対的な正解は存在していない。

　今回は枕がでてきた話だ。

　危惧していた問題が発生した。

　第二階層の罠の中に、精神干渉系のものが混ざっていたのだ。

　この手の罠は対処や耐性を積むのが難しく、迂闊に受けてしまうとそれだけで死人が出てしまう危険性が伴う。

　特に危険なのは混乱や幻覚などの状況がわからなくなるもの。これらは同士討ちの可能性が跳ね上がりすぎる上、安静状態でもそのまま危険な場所に突き進もうとすることがあるためだ。

　まあ今回は平衡感覚に異常をもたらすものだったが、罠のある場所によっては簡単に人が死ぬ。

　というか怪我人は出た。精神影響は回復するのに時間がかかるため、うめいてるところにスケルトンが襲いかかってきたのだ。

　なんとか応戦して、死人こそ出なかったが負傷者が出てしまった。

　情報を集めてもらわないといけないので迂闊に支援する事もできず、見守るしかなかったのも歯がゆい。

　事実として罠は死なない程度にきっちり踏んで、危険そうなところは死なない程度に戦って逃げてほしいのだ。

　それがあとから入る人間にとっての生死に関わるので。

　これこっそりサメ機巧天使（シャークマシンエンジェル）で支援しようという発想が失敗だったかもしれない。

　正面から援助を申し入れるべきか……？

　まあそれは置いておこう。ゴリ押しは効く。

　今日の分のガチャを開けよう。

　R・枕

　出現したのは枕だった。それも４つで一セットだ。

　一般的な羽毛の枕のようで、表面はシルクのような質感をしている。

　抱えるようなサイズのホテルにありそうな枕だ。

　同時に４つ出てきたということは、４つで意味があるのか、それともそれらを同時に使うことに意味があるのか。

　どちらかだろう。

　問題は私では４つ同時に使う手段がないということだが。私の頭はさすがに４つも無いし、重ねて使うなら首が痛い。

　とりあえず。枕である以上布団ないしベッドに置いてみるか。

　そう思って、機神に呼びかけてベッドを用意させる。

　庭のような空間に並ぶ４つのベッド。シュールな光景だ。

　サメ機巧天使（シャークマシンエンジェル）によって設営されたそれは一般的な木材とマットレスで構成された普通のベッドである。

　実験用に用意したので枕と掛け布団がない。

　一つ一つに枕を置いてみるとする。

　わりとデカ目のため、ベッドに置くと存在感があるなぁ。

　そうやって４つ、置き終わった瞬間だった。

　ボン、と音と煙を立てて、ベッドが姿を消した。

　そこには４つの枕だけが落ちている。

　……？

　え？

　機神とサメ機巧天使（シャークマシンエンジェル）に同じようにベッドを用意させる。

　枕を置いた瞬間にベッドは消え失せ、枕だけが残る。

　どういうことなの……。

　多分、４つってことが重要なんだ。

　なので、私はベッドを２つ一組にして、離して配置させ、そこに枕を置いた。

　そして、消えない。

　ゆっくり運ばせて並べる。

　ベッドは消える。

　……。

　ぷよぷよしたパズルゲームかな？

　なんで枕を置いたベッドで発生させるんだよそんな効果！

　意味がわからん！

　後日。兄が追加で法則を見つけ出した。

　並べて置かれた枕で消えるものについて。

　枕を乗せたものか、枕に乗せたものが４つ同じものだった場合それを消失させることを兄が発見した。

　つまりこの枕を４つ並べて人が頭を乗せると、頭が消えて死ぬ。

　まあ先に布団なりベッドなりが消えて避けられるが。

　そして、第二に。

　枕が消したものの機能を引き継ぐ。

　並べた４つの枕にスマホを置くと消えて、スマホとしての機能が使えるようになるのだ。

　当然、複数のベッドを取り込んだ枕は深い睡眠が取れる代物になっている。

　なんだこの枕。

　どういう効果をしているんだ……。