新感覚のディストピアへようこそ

デザインベビーという言葉が数年前に流行った。肌の色から瞳の色まで、精子と卵子が着床する前に医者と共に生まれてくる我が子を『デザイン』できるという。
いつか理想の子供が生まれてくるまで堕胎を繰り返す母親が出てくるのか。
そう思った時期があったがまさか今作では、気に入らない箇所があれば機械のように入れ替えて、気に入ったパーツに変えてしまうというのが当たり前の社会になっていた!
なるほどこれはデザインベビーより画期的で、犠牲も少ない。これが当たり前になると、整形よりも体への負担も少なくなって、整形の失敗に悩む人も少なくなるはずだ。
だが、それはオリジナルが全て失われることを意味する。例えば、気に入らない瞳があればそれを交換することができる。しかし、瞳に病気があってそれが神経にまで及ぶものだとしたら……?
きっと作中の技術は神経にまで進んでいないだろうから、そこでまた問題が起きると考えてしまうのだ。
結果、オリジナルが求められる社会へ戻る。私はそう思う。
素敵な作品を読ませていただき、嬉しい限りだ。
ありがとうございます。