執事姿の男性は、縁切屋だった。

 どこからともなく、人の弱い心に付け込んで縁切話を持ち掛ける、一人の男性がいた。男は執事の姿をしているが、自分を「縁切屋」だと言った。
 始まりはある姉妹の話し。姉は両親から妹の世話を言いつけられ、公園に来ていた。妹が遊ぶ中、姉はスマホに夢中だった。しかし、そのために妹は交通事故に遭い、集中治療室に運ばれる。そこに縁切屋が現れ、「死んでしまう妹との縁」を切ってあげようと、あまい言葉を囁く。姉はこれに承諾する。時は巻き戻って、公園。姉は道路に飛び出す妹を止めようとするが、途中で転びそうになり、妹を背中を押してしまう。そして、姉が切った本当の縁が何だったかを、姉は思い知らされることになる。
 この話を起点に、心の弱さと向き合えない人々と縁切屋、妖精など、日常でありながらちょっと不思議で、ちょっと不気味な話が展開される。
 果たして、縁切屋は何者なのか? 詐欺師? それとも――?

 あなたには、切りたい縁がありますか?
 それに代償が必要だったとしても?

 是非、御一読下さい。
 

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