第11話 勝利
僕たちは次々と現れるゴブリンたちを倒しながら歩を進める。
はっきり言って、ゴブリンなら僕の相手じゃない。
最初こそ、ゴブリンの命を絶つことに抵抗を覚えた僕だけどすぐに慣れた。
なので、僕は体の筋肉が躍動するのを感じながら、次々とゴブリンを屠っていった。
そして、迷宮に潜り始めてから一時間ほどが経つ。
すると、大きな部屋のような場所に出て、そこにはゴブリンとオークの集団が待ち構えていた。
モンスターの数は全部で十五匹ほどだろうか。これだけの数を一度に相手にするとなれば気を引き締めなければならないだろう。
その上、初めてあらわれたオークは人間の体に豚の頭をしているし、見るからに醜悪な生き物だ。
でも、ゴブリンよりはまともな武器を手にしているし、盾を持っているオークもいる。
それを見た僕はオークなら少しは歯ごたえがありそうだなと思った。
「お、あそこに標的のゴブリンがいるぞ」
アッシュが喜色を浮かべながら言った。
「ええ。しかも、あのゴブリンはこのモンスターの集団のリーダみたいね。オークたちを従えているなんて油断できないわ」
エルザは杖の先端をモンスターたちの集団に向ける。
「なに、オークなんて幾らいようと俺たちの敵じゃないさ」
「なら、やるわよ。まずは大きな魔法を一発お見舞いして、統率を取れなくしてやるわ」
エルザは勝ち気に言った。
「僕も足を引っ張らないように頑張ります」
僕はブロードソードを構えると、臨戦態勢を取る。
「ああ。でも、ユウヤなら大丈夫だし、オークと切り結んでも特に慌てることはないからな」
アッシュは力む僕に信頼の眼差しを向けてきた。
「そうよ。ユウヤの腕ならオークなんかに引けは取らないわ。今までと同じように戦えば良いのよ」
「分かりました!」
僕は意気込むように返事をした。
それを聞いたエルザは話は終わりとばかりに巨大な炎の球をモンスターの集団に向けてはなった。
炎の球は大爆発して、盛大に炎を巻き散らした。
モンスターたちも慌てて炎の中から出て来る。 僕たちはそのモンスターを一匹ずつ、確実に仕留めていく。
僕は斧を持ったオークと相対したが、難なく首を跳ね飛ばすことができた。
確かにオークもゴブリンと同じようにたいしたことはないな。大きな体格も見掛け倒しだ。
そして、一匹、仕留めればあとは慣れたもので、僕は次々と闇雲に襲いかかって来るオークを切り倒していく。
そして、気が付けば部屋にいたモンスターは全て血だまりに沈んでいた。
標的の赤い光を放つゴブリンもアッシュの剣によって首を跳ね飛ばされて絶命させられている。
「よし、これで請け負った仕事は完遂だ。ギルドで報酬をもらって旨い飯でも食おうぜ」
アッシュは一仕事終えた後のように揚々と言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます