1523年、男装する女性とホフマンは出会う。淫らで、美しいお話。

 このお話は、はっきり言って清純ではありません。淫らな部分があります。
 しかし、語られる文体が美しいせいか、まるで女性の裸体が描かれた、西洋絵画をみているかのようです。
 そしてただ「コッドピース」というものに注目しているだけでなく、そこにある歴史的背景、作品の登場人物たちの生き方、思想などがきちんと盛り込まれていています。そのため男装する女性・クレムの生きざまに、潔さや清々しさを感じてしまいました。

 とても質のいい作品です。
 内容は、得意な方と不得意方がいらっしゃるかもしれません。しかし、物語とは一見汚らしく見えるものを美しく魅せる力があります。この作品はそれを体現している。私としては、是非その部分を読んで楽しんでほしいと思います。