エピローグ 『一難去ったらまた一難というが実際には二難三難』
久しぶりに夢を見た。
夢と言っても普通にベッドの上で見る夢ではなく……。
《やぁ。久しぶりだね、友よ》
転生神が出て来る夢だけど。
「タイミングから考えて、ひょっとして業務連絡か?」
《そのようなものだねぇ。まったく、地球の神は馬鹿ばっかりで困ったものだよ》
予想通り、地球の神の顛末を教えてくれるらしい。
まぁ、俺のやらかしたことでもあるしね。
《まぁ、結論から言ってしまえば地球は何の問題もなく管理・運営されているよ。君によって排除された神というのは常に余計なことばかりして仕事を増やす駄神ばかりだったから、寧ろ邪魔がなくなって快適になったくらいだね》
「おうふ」
まさか、俺にちょっかいを掛けていた奴らがそんな阿呆どもの集まりだったとは。
《奴らは言ってみれば集合意識みたいなものだったからね。1人の人間に例えれば、常に1つの意識だけを持って愚直に行動出来る人なんて存在しないように、人間の意識というのは色々な多様性を持っている。それと同じように地球の神も元は1つの意思だった者が分裂して真面目な者や不真面目な者、頑張り屋に怠け者、硬派な者と軟派な者といったふうに無数に分裂した結果なんだ》
「今回は娯楽に惹かれるような馬鹿が集まっただけで、真面目に仕事をしている奴が残ったってことか」
《あくまで一時的にだけどね。今回で大量の馬鹿が排除されたと言っても、地球の神にそういう一面がある以上は、また馬鹿が大量に発生するのも時間の問題だよ》
「神だろうと人間だろうと、本質は簡単には変わらんなぁ」
《当然だよ。そんなに簡単に変われるなら神なんていらないよ》
「……神が言うと説得力あるな」
そんなに簡単に変われないからこそ、神なんて面倒な存在が必要とされるということか。
《本当は今回の件も事前に伝えたかったんだけど、流石に規模が大きくなり過ぎて僕が介入出来る余地がなかったんだ。他の世界の神の事情に土足で踏み込むのはルール違反だからね》
「地球の神がこっちの世界に介入したのはルール違反じゃなかったのか?」
《それねぇ。上手くルールの穴を突いたというか、普通ならやらない馬鹿をやらかしたというか、一度クレーゾーンのルール違反ギリギリで送り込んだ転生者に、一度通った道を通して力を送り込むってのが今回の作戦だったんだけど、当然のように神自身は地上に介入出来ないし、精々転生者の意識を誘導するくらいだからねぇ》
「登場時には既に暴走していたしな」
《君の神滅兵器【
「お陰で色々と苦労したが、色々と収穫もあった」
《あれもねぇ。念の為に言っておくけど、彼女達の神滅兵器はあくまで君の補助的な役割がメインであって、君の神滅兵器が上位に位置しているんだよ。彼女達に役割は君を護りつつ、君の為に神殺しの弾丸を量産することだからね。彼女達の神滅兵器では神の魂を刈り取ることは出来ないしね》
「神にトドメを刺せるのはあくまで俺だけってことか」
《そういうことだね》
ユメハとセリナは神にダメージを与えて神の力を簒奪して神殺しに弾丸を作り出すことは出来るが、その弾丸を使って神の魂を刈り取れるのは俺だけらしい。
「そういえば今更だが……」
《ん?》
「今回は録音じゃないんだな」
《まぁ、あんまり褒められたことじゃないんだけど、偶にはこうして友に直接会いに来て……色々と話を聞いてもらいたい気分の時もあるんだよ》
「あぁ~……」
それから予想通りに転生神の愚痴を延々と聞かされることになった。
想像以上に鬱憤が溜まっているらしく、俺が朝になって裸のユメハを抱き締めたまま目を覚ますまで愚痴を聞かされ続けた。
お陰であんまり寝た気がしなかったよ。
◇◇◇
セリナのことは表面的には大きな問題にはならなかった。
セリナの立ち位置が変わったからと言って俺がユメハ以外の女を受け入れることはないし、セリナとしてもすぐに俺との関係が変わるとは思っていないのだろう。
問題なのはリオⅡ改め、リナⅡをセリナに持っていかれたことだ。
勿論、その身に刻まれた膨大な魔法の刻印と共に。
どうやっているのかは知らないが、セリナもリナⅡに魔力を篭めることが出来るみたいだし、そうなるとリナⅡを間に挟むというワンクッションが必要であるものの、俺が使える魔法の殆どをセリナも使えるということになってしまう。
セリナはカイリナン公爵家の血を色濃く受け継いでいるのか膨大な魔力と回復力があるので魔法が使いたい放題だ。
おまけにリオⅡを解析した挙句、魔改造を施した謎技術の持ち主。
謎技術に関して言えば俺が素直に尋ねればセリナなら簡単に話してくれそうな気もするが、ユメハさんにストップを掛けられているので未だに謎技術のままだ。
お陰でセリナは今回の件で超パワーアップを果たし、俺やユメハとも互角のレベルまで強くなってしまった。
流石に魔法に関しては俺より速攻性はないし、リナⅡが居ると言っても前衛が務まる程ではない。
つまりユメハが前衛で、セリナが中衛、俺が後衛というポジションになる。
ある意味理想的なパーティではあるのだが、俺達3人が素直に組むということは滅多にないだろう。
普通にユメハが嫌がるし。
で。そのセリナなのだが、どうやらリナⅡの俺の変質した意識を、もう1人のエミリオに移植する計画を立てているらしい。
ユメハの対象外となったリナⅡの意識ならば問題ないだろうと、意識を移して疑似恋人ごっこをして楽しむ予定だとか。
変質ってリオⅡの中にあった俺の意識とセリナの意識が混じり合った結果だから、半分はセリナの筈なのだが――良いのだろうか?
混じり合ってどちらでもないということになっているなら良いのかな?
まぁ、セリナのことは置いておくとしてだ。
「~♪」
俺は現在、自室で胡坐をかいて床に座っており、その俺を座椅子にするようにユメハが密着して腰かけている。
当然、俺に対してユメハは背中を向けることになるのだが、それでもユメハのご機嫌な様子が手に取るように分かる。
俺はユメハに背中から抱き着くようにするとサラサラの髪に顔を埋める形になって、感触が気持ち良いし、とても良い匂いがする。
更に両手でユメハを支えるように抱き締めれば、しっくりくる位置におっぱいがあるので、両手で包み込むように揉むことが出来る。
「んっ♡」
ユメハはいつでも何処でも俺を受け入れるとは言わないが、時と場所さえ選べば大抵の場合は受け入れてくれる。
具体的に言えば自室で2人きりの時なら普通にOKである。
勿論、雰囲気も重要だし、毎晩のように揉んでいるとはいえユメハから羞恥心が消えたわけではない。
実際、今もユメハは羞恥心で首筋は赤くなっているし、耳まで真っ赤になっている。
それでも俺に身を委ねておっぱいを揉まれ続けてくれるユメハさんは最高だと思う。
「リオってさ……」
「ん?」
「私のおっぱい……好きだよね?」
「世界で一番大好きなユメハのおっぱいが好きです」
「うん♪」
偶に罠を仕掛けてくるのが玉に瑕だけど。
今の質問、単純に好きだと答えれば『私のおっぱいだけが好きなの?』と冷たい声が返ってきた可能性大である。
まずユメハの方が大好きであることを主張して、その上でユメハのおっぱいが好きであることを表明しなければいけない罠だった。
だが罠さえ潜り抜ければ、後は揉み放題である。
俺はユメハが発情して我慢が出来なくなるまでじっくりとユメハのおっぱいを揉みほぐし、発情して我慢が出来なくなってからはベッドでチョメチョメを楽しんだ。
ユキナさんの話ではサイオンジ公爵家の女は18歳で妊娠する可能性が高いので、冬を超えて17歳になった俺とユメハが2人だけで楽しめる時間は後1年となった。
勿論、妊娠する前の今よりも、妊娠した後の方がずっと一緒に居る時間が長いのは分かっているが、それでも今という時間も大切だ。
「ユメハ……」
「~♡」
事後のベッドの中でユメハの耳元で愛の言葉を囁き、ユメハがご機嫌で抱き着いてくるのに身を任せながら、俺はそんなことを考えていた。
◇◆◇
当たり前のように当たり前のことが起こる。
地球には地球の神が居るように、この世界にはこの世界の神が存在する。
勿論、この世界の神はこの世界を管理・運営しているわけで、そこに地球の神が余計なちょっかいを掛けて来れば面白いわけがない。
だが何より問題なのは、この世界に魔王などという特大の異物が誕生してしまったことだ。
しかも大小合わせて3柱も。
《異物は排除せねばならない》
《だが魔王を排除出来る力はない》
《下手を打てば奴らの二の舞ぞ》
《……傍観するか?》
《それも1つの手……だが弱気過ぎる》
《では再び異界の地から勇者を呼ぶか?》
《それも一興》
この世界の神は有象無象が集まったような地球の神とは違って7柱のみ。
地球の神や転生神と総合的な力が互角であるのならば、かなり強力な神であると言えるだろう。
《では、魔王退治の勇者を再び召喚する》
そうして魔王――エミリオを倒す為に異界の地から勇者が召喚されたのだった。
幼馴染の美少女騎士を嫁にしたんだが、ヤンデレ予備軍で独占欲が強いのでハーレムは無理そうです。 @kmsr
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