深く練り込まれた世界観に驚嘆──これこそが本来は王道だった。


 ラノベが定着する以前の異世界ファンタジーは『その作り込みにより別の世界を感じさせる』ものだった。

 現在の異世界ファンタジーは殆どが現代風にアレンジされていて馴染みやすくされている。反面、異世界がゲーム風のノリとなり本来の意味で異世界を体験できていないとも言える。

 こちらの作品はその作り込みにより異世界にある国家がまるで確かに存在するかのような錯覚さえ受ける。描写の細やかさや人物像の確立、その世界で人々が生きていると感じるのだ。

 これはハードカバーで出ている海外のファンタジー──例えば『氷と炎の歌』と現代ラノベを上手く融合させた様な作品と言えるだろう。

 本格的ファンタジーをじっくり読みたい方にはお薦めの一作。

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