真相……?
《こ、困りましたねぇ…いくら、不知火さんの頼みとはいえ…》
依頼を主の許可もなく、依頼通知設定を変更してしまったのは不味い。不知火曰く、主にいい所見せたいかららしいが、どうにも的外れな気はする。
《だけど、あんなに必死に頼み込まれては…》
(いつの間にか)連絡先を交換していたらしい。主の端末、もといネクトに早速メールが飛んできた。
その最中にも、主と会話しているのだから、この少女末恐ろしい。
基本的にバイブOFF状態にしてあったので、幸か不幸か、彼にそのメールの存在は気づかれなかった。
メールの内容は、こうだった。
<こんにちは。突然すみません。不知火です。多分このメールは、ネクトさんだけに伝わっているでしょう。もし、読み終わったら消去していて貰いたいです>
いきなり物騒な始まりだ、とは思った。
<単刀直入に言うと、お願いがあります。そちらの端末の依頼の通知を切っていただきたいのです>
やはり、大変な事だった。そんなことを勝手にしたら、どんな処罰が待っているか分からない。
その旨を伝えると、
<そこをなんとか!>
おーっとこれは、なかなか諦めてくれなさそうだ。仕方ないので、理由だけは聞くことにした。
<いや、えーっと、そのー、あー、いいとこ見せんたいんですよねぇ、あの人の前で。そう、一人前の獣狩りになった私の勇姿を!>
そもそも、そのためになんでこんなことをしなければならないのか、いまいちよく分からない。もっと詳しく教えてもらうことにした。
<え?何言ってるんですか。私が気づかない間に依頼が来てて、それをあの人に教えてもらうなんてかっこ悪いじゃないですかー>
だから、通知を切っておいて欲しいと。
うん、正直に言おう、彼女はアホだ。
まず、そもそも論として、どこがかっこ悪いのかがよく分からない。依頼が来ているかどうか、常にチェックしているのは
別段、気づかなかったからと言って問題は無い。
しかも、依頼通知OFFが主や上層部にバレたらどうするつもりなのか。
ハイリスクローリターンだ。いや、ネクト自身に得は無いのでノーリターンの方が適切か。
仕方ない。ここは乗る振りをして密告するに限る。
<ホントですか!ありがとうございます!よしっ、これであの人は…>
なんか最後らへんが意味深だったが、まぁ問題は無いだろう。
一応、通知OFFにはしておく。
けれど、その直後。
《ん?これは、獸の反応ですかね?》
ネクトだけでなく、獸狩りのAI全てに獸から出る特殊な周波数の音を感知できる能力がある。
しかし、ネクトは更にその上を行く。
獸の詳細な情報を音だけで、ある程度予測できるのだ。早速調べてみる。
《……………なんなんですかっ、これは!?》
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「一体、あいつは何が目的なんだ?あいつが、何となく怪しいのは、気づいていたが………まさか、後ろに何かいるのか?」
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「あー、やっぱり怪しまれちゃったかなー。少しやり過ぎたなこれは」
私は、(高層マンションの最上階にある)自宅にて反省会を開いている。流石に、浅慮だったかもしれない。
ただ本当に彼に認めて欲しくて、依頼を見過ごしていないことをアピールする為にやってもらっただけなのに。
その時だった。
ヴーヴー。
女子高校生にしては、あまり無機質だとは思う通知音が部屋に鳴り響く。端末からだ。
手に取る。
「…依頼通知?」
<!緊急事態!至急現場に急行せよ。>
<未確認の新種の獸と思われる生命体が、○○市△△区◇◇通りに出現>
<体長およそ15メートル、次数は、4または5と思われる>
<担当者以下2名。不知火炎華。白羽一兵>
「嘘、、、でしょ、、」
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