第149話 ドラゴンBBQ
ドラゴンの解体は大変だった。
割と繊細な作業も必要なので、慎重にやった結果、合計2日掛かってしまった。
何が大変かと言えば、切り出すにしても、ドラゴンである。
そんじょそこらのナイフでは解体は出来ない。鱗と皮が異常に分厚く頑強だからである。
結局愛刀と一緒に作って貰った小太刀に付与を6重掛けして解体して行く訳だが、せっかくのレア素材。
余計な傷を付けない様に、まずは鱗を全て剥がして、鱗のしたの皮を丁寧に剥がして……と実に根気とパワーの要る作業が続くのである。
骨にしても同様で、貴重な肉を綺麗に取り除いて行き、無駄に切断する事無く、骨だけにして行くので、滅茶滅茶時間が掛かった。
終わった時には、全員がグッタリと座り込んでいたのだった。
現在日本のトップニュースにドラゴンの写真が載って、SNSにもドラゴンの前でピースしている写真が大量にアップされたのだった。
結果、マジック・マイスターの宣伝効果が素晴らしく、株価がグンと上がったらしい。
兄上が黒い笑みニヤリと浮かべていたから、相当良い結果になったのだろう。良く判らないけど。
と言う事で、今日の夕食は庭でBBQである。
食材は、勿論ドラゴンの肉!
いやぁ~、久々に食べるなぁ。
焼き始めると、もうこの世の物とは思えぬ程の美味そうな香りが漂う。
多分、これを食べちゃうと暫く夢に出て来るよ?
経験者は語るだよ?
下手な薬とかよりも元気になっちゃうんだよ?
「さ、焼けた第一陣は、まず、塩だけで食べてくれ。」
と言いながら、俺も1切れ箸で摘まんで、ちょんと塩を付け、口に放り込む。
「ムッハーーーー!! 美味い。懐かしい味だーーー!」
と俺が絶叫。
あ、ヤベ! 俺がドラゴンの肉食った事あるの、内緒だったんだ。
と内心冷や汗を掻いていると、食べた人の絶叫が彼方此方から湧き上がる。
「な、何じゃこりゃ!? ベラボウに美味いのぉ! 極楽じゃ!」
と清兄ぃもご満悦。
グリードなんかは、せっかく覚えた日本語が吹き飛んだらしく、頻りとオーマイガーとか○ットとかを繰り返してシャウトしているし。
エバも似た様なものか。ハハハ。
美味しい物を食べて阿鼻叫喚とか珍しい現象が。
それからの食いっぷりはもの凄かった。用意した50kg近い肉が瞬く間に無くなってしまった程だった。
「も、もう食えねぇ……」
「ああ、非常に残念だが満腹だ……」
と前田と凛太郎が大の字になって庭に寝転んでいる。
この日集まったメンバーは、ほぼ全員、食後2時間程身動きが取れず帰るに帰れなかったのだった。
そうそう、帰れないと言えば、ドリュー師匠だが、本拠をこっちに移し、暫くこっちで仕事をするらしい。
これで喜んだのが、城島君と双葉。
同時にこっちの新居へとお引っ越しとなった。
斯くして、佐々木家界隈はまた賑やかになったのだった。
佐々木家界隈と言えば、近所の酒屋が滅茶苦茶忙しくなって嬉し気にヒイヒイ言っている。
原因は正しく、ドリュー師匠。
まあ、俺はドワーフの知り合い居たから知って居るが、初めて知る者は、その飲みっぷりに驚いている。
「な? 言った通りだったろ?」
と俺が言うと、絶句してウンウンと頷くまでが、お決まりのコースである。
師匠の目当ては、酒は勿論だが、一番は俺の持つドラゴン素材である。
「おい、あつし! 鱗寄越せ!」
とか、
「骨と牙!!」
とかドンドンと持って行く。
まあ、お陰で俺達の装備がドンドングレードアップして行くんだけどね。
しかし、そんな師匠だが、チョイチョイヤバい事もやらかしてくれる。
先日は、公園の木を勝手に斬り倒して、警察に御用となり、俺が早速身請けに行った。
「師匠、ここらの木は全部所有者あるから、勝手に切っちゃダメなんだよ。」
「げー、マジか。面倒じゃのぅ。あれだけあるんじゃから、10本ぐらい良かろうに。」
と悪びれもなく、ボヤいていた。
なので、面倒だから、俺が作ったマジックバッグに木とか必要そうな鋼材とか色々入れて渡して置いた。
「もし、これで足り無かったら、また言って下さい。呉呉も独断で採取は禁止ね。」
と釘を刺したら、
「あれ? この中には酒が入っておらんようじゃが?」
と酒まで要求されてしまったのだった。
リ・ボーン 時代に神風を巻き起こせ! 気怠い月曜 @kane21
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